トップへ | テーマトップへ | テーマランキング一覧へ
| タイトル | 日 時 |
|---|---|
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔14/42〕
|
2008/07/03 06:23 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔13/42〕
|
2008/06/30 06:44 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔12/42〕
|
2008/06/26 06:07 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔11/42〕
|
2008/06/21 00:21 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔10/42〕
|
2008/06/18 10:20 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔09/42〕
|
2008/06/15 04:35 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔08/42〕
|
2008/06/12 17:21 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔07/42〕
|
2008/06/09 10:09 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔06/42〕
|
2008/06/06 09:54 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔05/42〕
|
2008/06/03 22:10 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔04/42〕
|
2008/05/31 06:59 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔03/42〕
|
2008/05/27 08:37 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔02/42〕
|
2008/05/23 04:19 |
♂ゲイ小説 Just the Way You Are 〔01/42〕
|
2008/05/21 08:37 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 最終幕 (全17幕)
|
2008/05/18 18:55 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第16幕 (全17幕)
|
2008/05/17 05:16 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第15幕 (全17幕)
|
2008/05/12 01:36 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第14幕 (全17幕)
|
2008/05/07 06:24 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第13幕 (全17幕)
|
2008/05/03 07:00 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第12幕 (全17幕)
|
2008/04/29 23:48 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第11幕 (全17幕)
|
2008/04/24 10:09 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第10幕 (全17幕)
|
2008/04/20 07:27 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第9幕 (全17幕)
|
2008/04/16 10:27 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第8幕 (全17幕)
|
2008/04/12 03:59 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第7幕 (全17幕)
|
2008/04/08 01:03 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第6幕 (全17幕)
|
2008/04/03 07:56 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第5幕 (全17幕)
|
2008/03/31 07:39 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第4幕 (全17幕)
|
2008/03/29 02:23 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第3幕 (全17幕)
|
2008/03/27 08:23 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第2幕 (全17幕)
|
2008/03/24 23:51 |
【ゲイ小説】 幽霊香盤表 第1幕 (全17幕)
|
2008/03/23 15:18 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! エピローグ / 全25章
|
2007/10/02 08:46 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第24章 / 全25章
|
2007/09/29 19:34 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第23章 / 全25章
|
2007/09/28 13:36 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第22章 / 全25章
|
2007/09/27 03:48 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第21章 / 全25章
|
2007/09/26 11:59 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第20章 / 全25章
|
2007/09/25 07:38 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第19章 / 全25章
|
2007/09/22 00:25 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第18章 / 全25章
|
2007/09/21 05:14 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第17章 / 全25章
|
2007/09/20 00:59 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第16章 / 全25章
|
2007/09/18 09:51 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第15章 / 全25章
|
2007/09/17 09:14 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第14章 / 全25章
|
2007/09/15 21:52 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第13章 / 全25章
|
2007/09/14 23:08 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第12章 / 全25章
|
2007/09/14 00:50 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第11章 / 全25章
|
2007/09/12 10:42 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第10章 / 全25章
|
2007/09/09 10:30 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第9章 / 全25章
|
2007/09/08 03:10 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第8章 / 全25章
|
2007/09/07 00:18 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第7章 / 全25章
|
2007/09/06 05:18 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第6章 / 全25章
【Somewhere ? Everywhere ! 第5章からの続き】 ・ * 6 * ・ ・ 世間が、ゴールデンウィークだと浮かれていた。 オペラ夕星会は、活動主体が関西方面の団体だったので、大輔は、最初に選択肢から外してしまったそうだ。伝統――という殺し文句を使ったら東京歌劇団に敵うわけがなかったから、何と言っても箔が付くからの一心で、純子は、専らそこを勧めた。しかし、師匠であった阿久津教授が、当時、重鎮として東京歌劇団の権力に属していたことが、大輔としては心持ち良く... ...続きを見る |
2007/09/04 18:41 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第5章 / 全25章
【Somewhere ? Everywhere ! 第4章からの続き】 ・ * 5 * ・ ・ アルバイトを終えて帰宅すると、23時を過ぎていた。 相撲巡業の密着焼きを仕上げるために、残業せざるを得なかったプリント担当の飛騨という社員を気遣って、カウンター周りの清掃をしながら、諸々、下らない世間話に付き合っていたからだった。 大輔は、いったん自室で部屋着のジャージに着替えてから、風呂に入る前に何か飲もうと思ってキッチンに立ち寄った。リヴィングが明るかったから、母親がい... ...続きを見る |
2007/09/02 07:04 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第4章 / 全25章
【Somewhere ? Everywhere ! 第3章からの続き】 ・ * 4 * ・ ・ テンシキ・ラボが入っていた建物は、三軒茶屋の三つ叉……首都高が緩やかに曲がる辺りに位置していた。一階の自動ドアが開くと少し広いロビーになっていて、中央に客が座る小さ目なソファーと付属テーブルがあった。周囲にコーヒーサーヴァー、写真雑誌などを並べた棚、しょっちゅうトイレと間違われる一人用の暗室、アクリル板を張ったライトテーブル、……などが配置され、その奥に、やはりライトテーブルが備え... ...続きを見る |
2007/08/31 10:15 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第3章 / 全25章
【Somewhere ? Everywhere ! 第2章からの続き】 ・ * 3 * ・ ・ 卒業したとは言っても、大輔は、そのまま関東音楽大学の研究生として残ったのだから、四年生のときよりも一層暇な学生生活が延長していた心持ちだった。 正門から一直線に銀杏並木が連なっていたが、ところどころ満開の盛りを若干過ぎた桜花が愛でたいアクセントになっていた。学生仲間は、ほとんど何らかの社会人になって……つまり、羽ばたいて行ってしまったわけで、まるで大輔一人が取り残されたかのよう... ...続きを見る |
2007/08/29 15:19 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! 第2章 / 全25章
【Somewhere ? Everywhere ! プロローグからの続き】 ・ * 2 * ・ ・ 如月家の二階。ダイニングスペースは、広いリヴィングと兼用になっていた。 リヴィング部分は、板張りの床が円形の浅い段々になって少しずつ下へ沈んでゆく造りになっており、中央にガラス製の丸テーブル……、その周囲にクッションが点在……、視覚的にちょうど良いポジションを工夫して、平面型ハイヴィジョンTVそしてヴィジュアル装置類が端正に鎮座していた。音響は臨場感重視のサラウンドシステム... ...続きを見る |
2007/08/28 10:07 |
【ゲイ小説】 Somewhere ? Everywhere ! プロローグ / 全25章
* プロローグ * ・ ・ 聞いたところによると、彼のおじいさん……善輔という人は、現役時代、とても尊敬された雇われ医師だったのだそうである。 あの、天下の北天医科大学を、首席より三つぐらい下がった辺りで卒業して、それから、同大・付属病院や関東一円の名だたる大病院を歴任したとかで、とことん雇われ医師であることにこだわりつつ、心底から患者の気持ちを想い、丁寧に、そして渾身の努力を惜しまず治療と看護に専心したとのこと。それはそれは、優しさと慈しみに満ちた素晴らしい医師だったと言う話... ...続きを見る |
2007/08/27 16:50 |
【ゲイ短編】 三十五回目の誕生日
ふるさとは、いいものだ。 距離の割には、早く着いてしまった。だいたい、三時間ぐらいの旅になった。昼前に中野の家を出て、夕飯の支度をする前には着いてしまう計算だったから、正好は、わざと予告もしないでふらりと実家へ帰った。いきなりで驚かせてやろうという魂胆だったのだ。 新城という土地には、今でも田舎の風景と呼べるものが残っている。車が走るような道路は舗装が整ってしまい、正好が子供のころのように、雨が降ればたちまちぬかるむであろう風情はもうない。これまで、帰るたびに新しく作り直されていた... ...続きを見る |
2007/08/17 15:47 |
【ゲイ短編】 てっぺんまでもうすぐ
マサユキとタカシは、幼なじみです。 ・ マサユキが転校してきた小学校五年生の春、タカシがクラスで最初の友だちになったことが切っ掛けでした。生徒数の少ない小学校で、ひと学年にひとクラスしかありませんでした。二人は、ずっと仲良しで、いつも一緒に遊んでいました。クラスでは、机も隣同士に並べていました。放課後は、ときどき、戯れに手を繋いで家路につきました。 ・ 小学校を卒業し、マサユキとタカシは同じ公立中学に進学しました。中学校は、ひと学年に三クラスありました。一年生のときは同じC組になり... ...続きを見る |
2007/08/03 02:34 |
【ゲイ小説】 ゴータム村のラプソディー パート8/8
【ゴータム村のラプソディー パート7/8からの続き】 ・ ◆◆◆ ・ あれから一ヶ月ほど経って、妊娠第十二週を過ぎた辺りから、苦しかった久美のつわりは徐々に収まり始め、楽になってきたそうだ。代わりに、お腹が膨らんできたらしい。 六月に入ってからは、それまでの鬱々とした気持ち悪さが嘘のように消え、次第に、妊娠五ヶ月目の安定期へとステップが移って行った。久美は、それまでの憂さを晴らすように活動的になり、OB/OG会の準備委員会にも、毎回、顔... ...続きを見る |
2007/03/24 12:27 |
【ゲイ小説】 ゴータム村のラプソディー パート7/8
【ゴータム村のラプソディー パート6/8からの続き】 ・ ◆◆◆ ・ 翌週に迫っていたゴールデンウィークを、ユキオからの提案で、祥平と二人、ベタで過ごそうとの話になった。自宅待機を命じられていたユキオは、免職が、もはや時間の問題と察したのだろう。まともに行ったら、長い休みを一遍に取ることなど、叶わなかった筈だった。提案を受けて、祥平としては、ユキオが、久美との関係を終わらせる決意をしたように感じ取った。ユキオが、自分を選んだのだと、祥平は理... ...続きを見る |
2007/03/23 06:23 |
【ゲイ小説】 ゴータム村のラプソディー パート6/8
【ゴータム村のラプソディー パート5/8からの続き】 ・ ◆◆◆ ・ 二人とも、土曜日が仕事になったときは、――いつもだったら、夕方辺りになれば、どちらからともなく、自然にケータイメールで連絡を取り合ったものだった。ケースバイケースではあったが、もしも、互いに仕事が早く終わるようなら、どこかで一緒に晩飯でも食べようか、あるいは、呑みにでも行こうか、という話になったわけだ。多忙な二人は、切れ切れにちょっとずつでも、会える時間をできるだけ作り、... ...続きを見る |
2007/03/22 09:11 |
【ゲイ小説】 ゴータム村のラプソディー パート5/8
【ゴータム村のラプソディー パート4/8からの続き】 ・ ◆◆◆ ・ 百河悠紀夫――ユキオは、この土曜日も五本松支店で勤務していた。 ここ十日間ほど、こちらの店頭窓口業務に回されていたのである。ケータイ運営会社の最大手「モヴァフォーノ」に雇われて、六年目に入っていた。月に二度ほど、勤務場所のチェンジがあったのだが、普通なら誰しも厄介に感じる……そんな目まぐるしい業務システムを含め、ユキオにとっては、居心地の良い会社だった。同じ仕事場環境... ...続きを見る |
2007/03/21 12:10 |
【ゲイ小説】 ゴータム村のラプソディー パート4/8
【ゴータム村のラプソディー パート3/8からの続き】 ・ ◆◆◆ ・ 芝丸にある、美麻市庁舎の地下三階は、シティーホール駅に直結しており、メトロ・浅天線の急行に乗れば、天陣のダウンタウンまでは約十七分で到着する。 祥平は、メトロを降り、精算ゲートを潜り、長くて速度の遅いエスカレーターを三本も経由して、やっとのことで地上へと這い出て来た。二週間前――四月の頭まで続いていた……まるで冬のようだった酷い寒さは、さすがにもう、ぶり返すことがなく... ...続きを見る |
2007/03/20 07:38 |
【ゲイ小説】 ゴータム村のラプソディー パート3/8
【ゴータム村のラプソディー パート2/8からの続き】 ・ ◇ ・ 「日下部先生も、とうとう定年なんだね。そうかー。……てことは、六十五歳になるんだよね?」祥平が、高柳を向いて尋ねた。 須之内が用意してくれたベトナム蓮茶を、ありがたそうに啜っていた高柳は、 「その通り。でも、お元気だよ。むかしと変わらないね。相変わらず、でかい声で、バリバリと、よく喋る。だけど……」中国染付けの湯飲みを、そっとテーブルに置くと、 「……ときおりね、しん... ...続きを見る |
2007/03/19 09:47 |
【ゲイ小説】 ゴータム村のラプソディー パート2/8
【ゴータム村のラプソディー パート1/8からの続き】 ・ ◇ ・ カウンターの内側から、須之内が指示を出した。 「よーし。そろそろいいぜ。まず、可愛い蓋を取ったらな、それを小皿みたいに裏返して置いてな、その上にドリッパー一式を乗せてくれ」 辺りには、こってりとふくよかなベトナムコーヒーの香りが漂っていた。それぞれに、カチャカチャカチャと軽いアルミの金属音をさせてカップを裸にすると、 「そして、下に溜まっているコンデンスミルクを撹拌... ...続きを見る |
2007/03/18 02:55 |
【ゲイ小説】 ゴータム村のラプソディー パート1/8
――――州民籍法が全面改正になってから、八年と八ヶ月が経過していた。 ・ ◆◆◆ ・ 五本松大通りの……勾配が急な坂道を下って、赤城町交差点に出る途中辺りから、地面が、少しずつ平坦になってくる。ここから真正面に見えてくるのは、直径が約八百メートル弱、外周で約二・五キロメートルになろうかという、ほぼ正確な円形を描く……緑豊かで森のような公園である。芝丸中央パークだ。この公園が、大通りの直進を阻むように立ち塞がり、これを取り巻くように、ゆった... ...続きを見る |
2007/03/17 07:47 |
【ゲイ短編】 セピアの恋
「これが、‘動物の同性愛行動と自然の多様性’という論文です」 和田助教授は、動物行動学的に同性愛は決して自然の摂理に反するものではない――との確信を抱いている。 「ニューヨーク州立大学のブルース・ベージミル博士の論文なんです。皆さんも読んでおいて下さい。購買部にそろそろ入ると思いますから」 自然界には多様な性行動が見られるとベージミル博士は述べているのだ。 霊長類や海棲哺乳類、鳥類、爬虫類、昆虫など478種の生物に、生殖を目的としない同性同士の求愛行動が認められるらしい。 ... ...続きを見る |
2006/11/21 12:15 |
【ゲイ短編】 最後の抱擁
ケンと別れてから、こうして会うのは何度目になるのだろう。 もちろん、いつまでも気持ちを引きずってしまうのは良くない。お互いのためにならない。僕たちは、きれいさっぱり別れたのだから。でも、未練は、たっぷりだった。無理もないだろう。あのように、いきなり言われてしまったのだから。納得だって、本当は、まだ一つもできていなかった。 「元気そうだね」と、あらためて僕は言った。 「お前も……」 「もう、どのぐらいに、なったっけ?」 「まだ、四ヶ月……」と、ケンは、笑顔になって反射的に答えたあ... ...続きを見る |
2006/11/19 16:54 |
【ゲイ短編】 来たるべき日
ある日、ボイド・ショーン記念チャペルの正面が、急に明るくなった。 (ああ……、そっか、もうそんな季節なんだね……)僕は、急かされたような気分になった。 登校する生徒たち誰もが、不思議とワクワクしながら見上げる――あの光景が、また、この年も蘇ったからだった。でも、僕は、ワクワクしなかった。結果は、ことの次第では悲しいものだろうから――と。 優に高さ3メートルを超すモミの木、金銀のグラスボールや星型、天使の翼をかたどった真っ白な羽毛、大きなピアスにも見えるスノードロップ、赤と緑のリ... ...続きを見る |
2006/11/15 20:39 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(10)
【占ってメサイア!Part(9)より、つづき】 《渡辺首相と同じ新幹線に乗ってるみたいで、警備がすごくて乗りそこねるかと焦っちゃった。十時過ぎに名古屋着です。明日の動きかた、連絡してね。名古屋の地理、ぜんぜん分かんないし(^^;》 従兄弟の正好にケータイメールを送信するや、 >>>>>【8ゴウシャ】 >>>>>【2A2B】 引き続き、強力なキーワードが飛んで来た。 >>>>>(気持ち悪い。ムカムカする胸騒ぎ) 発車してからすぐに通り掛かった車内販売員のワゴンから、柳瀬... ...続きを見る |
2006/09/29 02:50 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(9)
【占ってメサイア!Part(8)より、つづき】 ΩΩΩΩΩΩ最終段階ΩΩΩΩΩΩ ・ ・ 選挙戦は、熾烈を極めている。 「黒川副代表は今夜遅く、沖縄から空路、大阪へ入る予定だ。すまないが、君には、明日一番で、いや……、やはり今夜中に大阪入りして貰おうか。チケットは、押さえてあるから……」 「はい。分かりました……」 総理大臣、渡辺秀重を党首に戴く独進党と、こないだまで連立与党を組んでいた、ライヴァル・民自党との、骨肉を血で洗うような猛激死闘。 「では、選挙戦略見... ...続きを見る |
2006/09/25 23:23 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(8)
【占ってメサイア!Part(7)より、つづき】 一番町にある、TKCビルの六階。 会長室の窓は、やたら大きくて、皇居のお堀端がドーンと見られることこそが、大のご自慢。 七十を過ぎたかどうかぐらいに見える男が、机の向こう側に座っている。その背景、真っ直ぐ斜めに見上げた中央、思わず敬礼したくなるような位置には、ガッチリと額装された純金メッキの十六菊〔十六葉八重表菊。輝く太陽を表しているとも言われる〕が、厳かに掲げられている。 「新聞記者だか何だか知らないが、目障りな連中が嗅ぎ回... ...続きを見る |
2006/09/22 02:13 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(7)
【占ってメサイア!Part(6)より、つづき】 “意味深だったな、あの小早川の言葉……” “郡司 治があの世へ持っていったスキャンダルなんて、永久に出て来ることなんかない……って言ってたアレだろ? 予想通りじゃないのか?” “あいつのツラ見てたか? 自信満々で、はちきれそうだったぜ。さっきは、こう言ったんだぞ。郡司が自殺して闇に葬られた独進党のスキャンダルなんて、もう二度と出て来ない……って” “それが、どうかしたのか?” タクシーは参議院議員会館の駐車場に停まったままであ... ...続きを見る |
2006/09/18 10:04 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(6)
【占ってメサイア!Part(5)より、つづき】 運転の邪魔になるだろうから……と、滅多にやらないが、無視されて当然の軽いご愛嬌で、 《いま、どの辺り走ってんの? 僕、立聖大学、池袋の》 手島のケータイへ、用なしメールを飛ばしてみた。霊感に操られて……なんてことじゃなく、ほんの気まぐれ……のつもりだ。 そうしたら、何も、おったまげるほどの偶然でもないが、 《おやまあ。たったいま、芸術劇場でお客を降ろしたとこだよ。迎えに行ってやろうか?》 予想外な返信は、一分もしないうち... ...続きを見る |
2006/09/16 00:27 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(5)
【占ってメサイア!Part(4)より、つづき】 手島から、メールが入っていたのに、 《今日、飛び出してきた通行人をハネそうになった。ひとりでに足がブレーキを踏んで、ことなきを得たよ。助かった……》 麻布十番の1LDK・アパートに帰って、ケータイをブルゾンの内ポケットから取り出すまで気付かなかった。 《油断してたけど、守られたみたいだ。きっとオフクロだね》 何時間も前のメールだ。柳瀬には、すぐに返信しないとならないような予感が、ちょっとだけする。 (やっぱ……昭男、疲れが... ...続きを見る |
2006/09/11 18:39 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(4)
【占ってメサイア!Part(3)より、つづき】 柳瀬は、去年の暮れ、クリスマスイヴの前に手島がアパートへゴロゴロしに来たとき以降は、年越しを挟んで、愛する旦那とは、まだゆっくり顔を合わせていない。 「なあんだ、そうなのかい。そいじゃ、二人でまだ、お屠蘇も呑んでないの? そりゃ、かわいそうに。なら、うちで祝うがいいよ。あとからでも、ここに呼んだらいいじゃないかえ?」 なにせ手島は、久が原にある木造平屋なれど庭付き一戸建て、その父子の住まいをほとんど独力で大掃除しなくてはならなかっ... ...続きを見る |
2006/09/07 10:43 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(3)
【占ってメサイア!Part(2)より、つづき】 この日は夜シフトの乗務予定だったのに、敢えて手島は昼番時間から飛び出してみた。これが勇み足になって、あとで単に、もっと腰を痛くする結果だけで終わるのか、それとも、精を出しただけの稼ぎになるかは、タクシードライヴァーとしての経験から得られた勘や技のほか、なるほど、運ちゃんというぐらいだもの、どうしても運が重要な要素になるらしい。あくまでも運だから、運命と言うほど重そうなものじゃない……はずだ======。 自宅から徒歩で通える久が原の... ...続きを見る |
2006/09/04 17:39 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(2)
【占ってメサイア!Part(1)より、つづき】 >>>>>【ユダン……シ】 >>>>>【アki……o】 柳瀬の意識に、キーワードらしきものが、強いて音を立てるなら、シューッ、ポンポンッ……と、テロップのように浮かんだ。ところが柳瀬は、一切、何も慌てていない。だって、日常的に、しょっちゅう起こることだから。一日に、数個〜数十個のキーワードが、突発的に浮かんだり、降ってきたり、湧き上がったり。明瞭なときも、かすんでいるときもある。精神状態や集中の度合い、それから体調にも左右されるよう... ...続きを見る |
2006/08/31 19:13 |
【ゲイ小説】 占ってメサイア! Part(1)
Ω第1段階Ω ・ ・ もしも……の話――――、 「おや? 何だ……里中、タクシーは呼んで貰わなかったのか?」 「地図をいただきましたので。足利駅行きのバス停まで、歩いて行きます。天気もいいし、歩いたほうが……」 「なるほどな。まあ、それもいい」 ――――ミサイルなんぞをドッカンと撃ち込まれたところで、そう易々とは壊れそうもない、この超・堅牢無比なる建物の玄関を出た瞬間――、 「じゃ、頑張れよ! 帰ってくるな!」 「はいっ! お世話になりました。失礼しますっ!」... ...続きを見る |
2006/08/28 15:35 |
【ゲイ短編】 もう一度逢えるなら
大事件は発生した。連邦大統領選挙を三日後に控えた四月四日。午前八時五十一分。 「立花上級警部。あー、……これまでの君の経験や知識それと何もかもが、この任務に関わる誰よりも抜きん出ていることは言うまでもなく……」 「部長。オレにやれとおっしゃりたいのなら余計な話は要りませんから。時間がないんじゃありませんか。判っている情報を手短にありったけ下さい……。……巡査長、頼むよ……」 時空転送が限定的ながら可能になっていたことは、連邦政府内でもごく少数の人間しか関与できない超極秘事項なのであ... ...続きを見る |
2006/07/06 01:08 |
【ゲイ短編】 lone wolf meets love
何も知らない振りをしていた。 “……さて今日、後楽園ホールで行われた、日本ミドル級タイトルマッチ6回戦は、……” 急いで襖をそっと開けて、妻が寝息を立てているのを見遣ってから、すぐにリモコンを取り、テレビの音量を絞った=========。 ...続きを見る |
2006/06/22 11:04 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part10
【ぶっきら坊主プロジェクト Part9よりつづき】 * 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ○一月十七日(水) あんなとこ行くんじゃなかった。初めてだったのに。ちくしょう。なさけないちくしょうちくしょうバカバカちくしょうちくしょうマヌケちくしょうちくしょうおろかもの 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 浄道「あいつはよ、たった一遍だけ、そのハッテン場てえところへ行ってな。それで感染しちまったみてえなんだよ」 そんな非情な話、あってイイのかよ……。俺みたい... ...続きを見る |
2006/05/31 01:32 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part9
【ぶっきら坊主プロジェクト Part8よりつづき】 * 誰も何も話さない。 “・・・・・・・・・・” 機材の電源部分から、ジーっ……という一定の音が漏れて続く。 “・・・・・・・・・・” 照明装置から放たれる光さえもが、透明な音程を、ずっと伸ばしていたことに、いまさら気付く。 “・・・・・・・・・・” それほどに、ソット・ヴォーチェは静かだ。 「さっき……。台本に……書いてねえ台詞を言ったよな、新堂さん?」 答えない新堂に、浄道は腰掛けるよう促した。 「……... ...続きを見る |
2006/05/31 01:28 |
【ゲイ短編】 こんなことがあったの
沙也香が、後で話してたけど、夜のニュースに出ちゃうよりも前に、電話連絡網で回ってきたんだって。でも、あたしはお母さんが電話で話してるときに、ちょうど自分の部屋でテレビ見てたのね。それで知ったの。だから、ホントにびっくりしちゃって。 「大変よ〜っ、お母さん!」 「春菜ちゃん! 大変!」 あたしが急いで居間へ降りていったら、お母さんが、ヤバそうな顔になってて、尾山君が死んじゃった……ってことと、明日の朝は、臨時の全校朝礼があるから…って言ったの。 翌朝――――。 ――――校門の外に... ...続きを見る |
2006/05/26 09:41 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part8
【ぶっきら坊主プロジェクト Part7よりつづき】 * 【6】 * ―――夏 思い出 ―――たくさんの音 ―――波しぶきの音 風の音 ―――砂を噛む音 潜るときの音 ―――甲羅干し 背中に太陽の叫び声 ―――夜 蝉しぐれが止む ―――ギーッチョンギーとキリギリス ―――鈴虫の声 コオロギの声 ―――虫取りが大好きな少年 ―――クワガタ カマキリ カブトムシ ―――夏休み 何よりも虫 ―――カミキリムシ テントウ... ...続きを見る |
2006/05/23 14:21 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part7
【ぶっきら坊主プロジェクト Part6よりつづき】 * 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 洋一「えっと。えへへ。僕の本当の名前を……そうねえ……明日の朝までに解き明かすことができたら、そうしたらノブキママさんこと、諦めま〜す。あははは」 洋一、いたずらっぽく笑う。 ノブキ「え〜っ。な……何だって? 洋一くんのホントの名前って? どういうこと? 洋一くんってヨウイチくん、じゃなかったの? ホントは?」 洋一「はい。僕の本名は洋一じゃありません... ...続きを見る |
2006/05/16 04:45 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part6
【ぶっきら坊主プロジェクト Part5よりつづき】 * 貴史は、傍らの浄道監督から何の指示も出ないので、カメラのファインダーから思わず目を離した。ひそひそ声で、 「かんとく……か・ん・と・く?」 カメラを止めないのかと訊いてみる。 あれ? おっかしいな浄道さん。どうしたんだろう、ぼんやりしちゃって。お疲れかな?――――新堂も奇妙に感じた。 ここで、一旦シーンが切れる予定で、出来の良し悪し……いずれにせよ、浄道がカットを叫ぶはずのタイミングなのに。 台詞が繋がらないか... ...続きを見る |
2006/05/08 20:36 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part5
【ぶっきら坊主プロジェクト Part4よりつづき】 * 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ○ピアニッシモ店内#25 週末らしく賑わい始めている。 BGM大きく。ミセの乱雑な会話。 客たちのPAN。タバコの煙。 ノブキ「どうぞ。こちらへ。お疲れさまでございます」 ノブキ、にこやかに、お絞りを手に控えている。 はじめ、ゆっくりとカウンター席へ。 はじめ「はいはい。いやはや、くたびれました。てっぺんの五階... ...続きを見る |
2006/05/02 04:04 |
【ゲイ短編】 お兄ちゃん
大槻さんのご家族は、お父さんが文房具店を経営していらっしゃって、お母さんは小学校の先生です。長男はすでに社会人。東京のほうにお勤めです。次男は学生ですが、横浜にある大学に通っています。そして一番下は女の子……地元の高校の二年生です。今年から交換留学生制度を利用してロンドンで勉強しています。 普段はこうしてバラバラになってしまったご一家ですが、もともととても仲が良くて、年末になると三人の子供たちは、こうして実家に戻って来て一緒に正月を迎えるというわけです。 お父さんは、 「なあ優花... ...続きを見る |
2006/05/01 17:01 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part4
【ぶっきら坊主プロジェクト Part3よりつづき】 * 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ☆ぶっきら坊主プロジェクト☆ ・・・・・ 映画制作のキャスト(出演者)・スタッフ(協力者)募集中 あなたも、自主映画作りに参加しませんか? ・・・・・ これは、私の亡き弟・吉村哲夫が遺した映画シナリオ、 『窓のない夜』の映画化を実現するためのプロジェクトです。 哲夫は昨年の初秋、不慮の事故で亡くなりました。 遺された執筆作品を整理しているとき、哲夫の日記を... ...続きを見る |
2006/04/28 00:07 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part3
【ぶっきら坊主プロジェクト Part2よりつづき】 * 終電に間に合わせるように居酒屋を出たつもりだったのに、浄道住職のほうは電車がなくなったらしい。五反田の駅頭で……おいらは歩いて行くよ、じゃあな……と叫んで手を振っていたが、おそらく途中のどこかでタクシーを拾ったことだろう。新堂は、山手線で新宿へ帰る。 久しぶりにたくさん呑んだが、初めから終わりまでチューハイで通した。新堂が呑んだ量以上に終始冷酒を呷り続けた浄道は、坊さんのくせして大層な酒豪だ。 あれよあれよというあいだに... ...続きを見る |
2006/04/27 23:50 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part2
【ぶっきら坊主プロジェクト Part1よりつづき】 * その時点へ向けて、星々が連なって動いて行ったとでも言うのか……、大凶相を描いて。新堂が、仮に占星術を学んでいたとしても、こんなに突拍子もない出来事など、予知できなかったろうに。 ――――半年前、吉村哲夫は交通事故で亡くなった――――。 明翔高校で国語の教師をしていた。四十二歳だった。同じ……新前教師として初めて教壇に立った文慶館高校で、新堂は、哲夫と知り合った。二十年来の付き合いだった。 ゲイというのは……面白いこと... ...続きを見る |
2006/04/27 23:49 |
【ゲイ小説】ぶっきら坊主プロジェクト Part1
【1】 * 何となくなんだけど、あれもこれも嫌になっている。 いっぽうで気まぐれにまた少し生気回復して、こんなんじゃ、いけないぞと、あちらこちらの関節をポキポキと鳴らしてみたりもして。それの繰り返し……とは言ってもさ、自殺するほどの勇気は、もともとない。やはり、中途半端に死んでしまおうなんてのは勿体ない発想なんだと、意気地なしの言い訳けをする。都合良く考えたくなるんだな。ゆくゆく……生あるもの、いずれはどうせ、おっちんじまうんだろうから、そんな選択はつまらないもの。何か、ちっとも... ...続きを見る |
2006/04/27 23:49 |
【ゲイ短編】 気付いたら…女
佐々木が何の気なしにテレビをつけると、いきなり画面いっぱいに、肥満した男の顔が大映しになった。 〈……ほっほっほ。そうなんです。よく言われるんですよ。何も喋らなければ普通のデブなのにねって。あっはっは。声を出した途端にね、皆さんびっくりされて。僕の顔と……この身体をね、目を皿のように見開いちゃって、呆然と眺めるんです……〉 「ああっ!母さん、ほらほら、この人この人――岡島栗雄。こんどの公演に出るソプラニスタ!」 《ほんまやがな。目えつぶって声だけ聴いてたら、ほんまに女の人でっせ。ものすご... ...続きを見る |
2006/04/14 03:24 |
【ゲイ短編】 バルコニーアワー
たいていの男は金で落とせるが、あいつだけは違ったよ――。 * これまで、芸能人でめぼしい男は全部食い尽くした。一般の人間にはあまり知られていないかも知れないが、あの業界にはゲイが多いんだ。誰でも毎日のようにテレビで見ている有名タレントで、俺が月に二〜三遍のペースでアナルを耕してやっている男が何人もいるんだが、そいつらの名前を聞いたらみんな卒倒するだろう。直視できないくらい淫乱。要するに、華々しいようで実は日頃いろいろ抑圧されているんだろうな、ああいう仕事をしている連中は。名前を教え... ...続きを見る |
2006/04/10 02:25 |
【ゲイ短編】 中学生日記
都心部の空洞化とか言われるようになってすいぶん経った。やっぱり、僕――が予想した通りで、30年後じゃなくて、20年後の開封へ、けっきょく早まってしまったね。 僕らの母校、区立葵中学校は廃校になった。通っている生徒の数が、すごく少なくなったので、学区域で言うと隣の、大倉中学校に吸収されてしまう形で。 2006年3月末、最後の卒業生5人を送り出した。ほどなく解体工事を始める……なんて焦った話をしていたから、恩師の藤富先生から葵中に連絡してもらって、大急ぎでこの同窓会を企画したんだ。だって、... ...続きを見る |
2006/04/02 23:14 |
【ゲイ短編】 Gypsy Inn
私は精魂尽き果てて再びここに辿り着いた。 カトマンズ・トリブヴァン国際空港。あの頃にはなかった大阪からの直行便を降りた時、私には、まだちっとも懐かしく思えなかった。全く様子が違っていたから。すっかり立派なエアターミナルに変貌している。 「ああ。でも、この空気……」 独特な、あの乾いたような香りはまだ健在だった。私が、この土地に帰ってきたという実感は、ネパール王国の威信が固まってできたような微笑ましい大空港の正面玄関から外に出て、この小さな大都市の中心部へと向かおうとする途中で漸く... ...続きを見る |
2006/03/24 23:44 |
【ゲイ短編】 プリペイド・ロマンス
森に降りそそぐ陽の光が既に明るい。鳥の語らう声が煌めいていて、軽く湿った空気が草花や樹木の香りを運んで窓から忍び込む。カーテンが穏やかに揺れている。新鮮なそよ風が走って爽やかな音楽となり、二人に呼びかける。幸せな一日の始まりを。休日の心地よい目覚め。 かたわらに視線を向けると、トオルの美しい寝顔があった。神崎龍之介は、柔らかい動作で恋人のうなじをゆっくり引き寄せると、覚られないよう優しく頬に接吻した。かみそりを使っていないくせに、すっきりと、どこかへ飛び立って行きそうな眉。閉じた瞼から... ...続きを見る |
2006/03/09 17:38 |
【ゲイ短編】 選ばれたい年頃
二人とも密会には慣れている。密談に密約。それらが重要な仕事の内でもある。 「こんなふうに……するの……久しぶりじゃ……ないっ?!」村岡が腰にいやらしく力を込めて何度も突いている。 「んふっ!うふん……そう……ね……ウッフン」嶋田は良いところに当たると、そのたびに嬌声を上げる。 したがって、密会すること自体は彼らの世界では至極当たり前であるのだから、男同士で愛し合う二人にとっては逆に好都合とも言える。よく出来たものだ。 「ほうら、ほうら、どうだ、こうだろ?ん?」村岡の熟達した感覚と... ...続きを見る |
2006/03/02 14:30 |
【ゲイ短編】 落丁本の行方
駅前のロータリーに、新しい書店ができた――「ブック・オッフン」。 夜の十一時ごろまで開いているので、普通に残業が終わればどうにか立ち寄れる。 ヨシオは、毎日、職場にほとんどカンヅメ状態で、休みの日以外は、中々好きな本屋にも行けないありさま。今の仕事に就いてから、ズッとこうだ。 ...続きを見る |
2006/02/24 23:34 |
【ゲイ短編】 歯型
【1】 キューン キュイーン ウィー ギー ギュイーン… 伊東は歯医者が嫌いだ。たぶん誰もがそうだと思うが、あの歯を削るタービンと言う機械…削子が歯に当たる音はとにかく恐怖感を煽る。 キィィィー ギューン ギュイギュイ ギュィー… 「痛かったら言って下さ〜い。痛くないはずですけどね〜」 ここ、西新宿住友ビル10階の“エスエス・デンタルクリニック”の歯科医はベテランで腕が良いらしい。だが、会社の同僚たちは専らここの助手たちがみな巨乳のベッピン揃いだと噂していて、それゆえ伊東に... ...続きを見る |
2006/02/21 14:55 |
【ゲイ短編】 乗り換え待ちの十五分
「これでもう九回目の不合格通知だよ…どうしようもねえ」…オーディションに落ちたタカユキはひどく落ち込んでいた。 「そっか。でも、また頑張るんなら…めげるな」…慰めの言葉も尽き果てていた。タカユキと付き合い始めたころ、奴はまだ会社勤めだった。どうしようもなかったのはボクのほうで、バイトや派遣で繋いでいたとは言え、長く続いても三ヶ月…仕事は全然定着しなかった。 「俺って、やっぱ才能ねえのかな…」…タカユキは学生の頃から演劇をやっていて、そのころから役者になるのが夢だったと言う。 「ボクには... ...続きを見る |
2006/02/20 18:06 |
【ゲイ短編】 僕の、あした
水曜日だからと言って、 “おうっ。おつかれっ!” “あ…。いいよ、きみ。今日は…、そこまでやっとけば” “ねえ。帰ろっ?一緒にご飯食べに行かない〜?” 「ハ〜イ。おしま〜い。これ以上は仕事いたしません…わたくし…っと!」 みんな、午後6時になるのを待ち構えていたように退社してゆく。社員のために、毎週水曜は残業をしない日だと決まっているのだそうだ。 同僚の桜井姐さんが、 「あれ…森岡くん。なんで帰らないの?」 キョトンとした顔で僕を見る。 馬鹿げているのは、この日に残業... ...続きを見る |