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help リーダーに追加 RSS ▽見ちゃった! ヤツの幼少期 <古い8mmフィルム>

<<   作成日時 : 2008/06/11 09:34   >>

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 四十九日の法要を終えたあとだったから、一ヶ月ほど前のこと。いよいよ、僕が引っ越してくるからと、ヤツは亡くなったお母さんが使っていた部屋を片付けてくれた。すると、部屋のいたるところから、たくさんの古い家族写真の類が出てきた。まったく未整理。手つかずの状態。古い写真を見るのは楽しい。とくに、ヤツの子ども時代の写真を。

 それらの中に、全部で十数巻の8mmフィルムが含まれていた。
 8mmヴィデオではない。フィルムである。知らない人がいても、おかしくはない。
 これは、ぜひ見たいものだと僕は思った。


 いまはヴィデオが当たり前だが、世の親御さんたちは1980年代に入るまで、家族の記録映像をもっぱら8mmフィルムで撮影していた。どこの家にも、8mmカメラと映写機があったものだ。フィルムに磁気テープが並行し、映写すると、カメラが同時録音していた音声が鳴る種の製品が最終進化型だったと想う。ヤツの家に残っていたのは、それよりふた時代分ほど古かった。

 たいていの親は、子どもが産まれると、成長の記録を残そうと思いつく。いまもむかしも変わらない。ヤツの家に残っていた、たくさんの家族写真と同様、発見された十数巻の8mmフィルムにも、きっと特別な思い出が収録されているに違いないと想った。

 フィルムは劣化するので、映写機にかけると切れてしまうことがある。また、ヴィデオ隆盛の時流に乗って映写機の生産は疾うに終了し、メインテネンスも段々とできなくなった。とりわけ決定的なのは映写ランプの欠乏だ。最後のランプが切れたら、もうフィルム映像を見ることができない。

 僕は以前、ヨドバシカメラへ古い8mmフィルムを持ち込み、金を払ってヴィデオ(VHS)に変換して貰ったことがあった。8mmを映写した銀幕を、ヴィデオカメラで撮影し直すという、実に原始的手法によったものだった。いまでも、きっと同様のサーヴィスがあるのでは―――と、ヤツに調べさせた。

 すると、ヨドバシカメラに、いまではヴィデオどころかDVDに変換するサーヴィスまであると判った。ただし値段が高かった。フィルムの尺や巻数で複雑な計算をするようだが、ヤツの家で発見された十数巻の8mmフィルムを一挙にDVD化すると、およそ20,000円が掛かるとのことだった。タイトルが記されていないフィルムばかりで、実際、何が撮影されているのか判らなかったから少し躊躇したものの、ヤツは思い切って依頼することを決め、古い8mmフィルム十数巻すべてを預け託した。

 二週間ほどを経て、数日前にDVDが仕上がった。

 さっそく再生してみて、驚いた。画質が想ったよりも良いからだ。僕が以前たのんだときのような、8mmを映写した銀幕を撮影し直すような原始的手法ではなく、専用のデジタル変換装置を使ったのだろうと感じた。フィルムそのものがピンボケならそれなりだが、しっかり撮れている絵は、かなりクリアにデジタル化されているのである。この映像が、これから永く残るのだと考えれば、フィルムのままで劣化するに任せるなど、非常にもったいない話だ。この世に二つとないのだから。お金で計ることもできない。

画像

 ヤツは、一人っ子。お父さん・お母さんと、三人家族だった。お父さんは12年前に59歳で亡くなった。そして、お母さんは今年の三月に亡くなった。享年70。

 残されていた8mmの映像は、見事なまでに微笑ましい。何を狙って撮影されたものかと言えば、紛うことなく幼い頃のヤツの成長の様子―――それ以外の何物でもない。

 代々木公園と思しき場所。凧揚げ。長野のいなか。善光寺。新潟のいなか。雪の庭。アスレチックパーク。滑り台。磯辺。釣り堀。夏の砂浜、お父さんと戯れて……。

画像

 これは珍しいと驚いたのは、ヤツの生まれたて―――まだ、目も見えていない乳飲み子―――おそらく、ヤツが病院で産まれてから初めて家にやってきたときに撮影したのだろうと想われる、ものすごく貴重な映像が含まれていたことだ。

 泣きやまない、クシャクシャの赤い顔。オシメを外すと、全身でもっと泣き出した。哺乳瓶の先を咥えるときだけ、きっと大人しくなったのだ。ヤツの食いしん坊ぶりには、相当の年季が入っている。

 その映像に続くは、ヤツの最初のお宮参り、ヤツが迎えた初めてのクリスマス・お正月の様子である。

「涙が出そうになった」と、思わずヤツは呟いた。
 産まれたばかりの自分の映像を見る体験は、きっと独特な感動をもたらすものなのだろう。

 東京・渋谷。ヤツのむかしの家。近所の友達。近所の公園。秋祭り。訪ねてくる親戚。親戚の結婚式。動物園。運動会。お母さんと遊園地……。

画像

 これらの映像はすべて、ヤツのお父さん・お母さんによって撮影されたものだ。ファインダーを覗いた人の「心」は、そのまま撮影された被写体に投影される。裏返して言えば、幼い頃のヤツの姿や動きが収録された、この合計1時間10分に及ぶ映像には、撮影したヤツのお父さん・お母さんの「心」が、ぎっしりと詰まっていることになる。

 僕は、あどけないヤツの幼姿に、微笑ましく胸を打たれる。
 そして強く感じる。
 如何に深く、ヤツがお父さん・お母さんから愛されていたかを。

 お母さんが最期まで、十数巻の8mmフィルムを大事に守ってこられたお気持ちが―――その愛情が、言語を超えて真っ直ぐに伝わった。

 DVD化して、本当に良かった。
 映像を見て、本当に良かった。

 それと―――。
 これからヤツと一緒に生きてゆくに当たって、こうして幼い頃のヤツの映像をしっかり見ておくことが大いに役に立つ。
 「三つ子の魂、百まで」のことわざ通り、人間とは、幼い頃に示した特徴を、死して墓に入るまで保持し続けるものなのである。

 古い映像を通じて僕は、ヤツの持っている性質を見知ることができた。

 もちろん、いまのヤツをよく知っているからではあるが、さらに幼い頃のヤツの表情/動作/行動の特徴―――そういった要素をデータとして加算、あらためて演算することで、ヤツの思考傾向や判断基準などが、おおむね察知できるものなのである。要は、幼稚園や小学校の先生にでもなったつもりで、幼い頃のヤツの映像を精査すれば良い。

 静止画像だけでは、なかなかそこまでは見えてこない。
 これこそ、動画映像のちからなのだと覚った。


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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
いいですね。動画が残ってるって。

それに、感動する内容と納得してしまう解説が、絶妙な文章、と思ったのでした。

th
2008/06/11 12:39
こんにちは。
早速ですが、リンクを張らせて頂きました。
で、今読んでいる最中ですが、
あの8oのDVDへのサービスって
高いんですよね〜。
でも、自前で変換機械を買うと、
一桁違う値段だし・・・。
でも量が沢山ある場合などは
迷いますね〜!
円山さんのブログ読むので1週間はつぶせそうです!!!
では〜♪
FeliscutusverX
URL
2008/06/11 17:29
>thさん
 音声は付いていませんでしたが、しっかりと会話や笑い声まで聞こえてくる映像ですよ。
 初再生のとき、亡くなったヤツの両親も、一緒に見ておられたと確信しています。
 これからも、きっと繰り返し見ようと思います。
 心が癒されます。
円山
2008/06/11 19:15
>FeliscutusverXさん
 リンク、どうもありがとうございます。これからも、宜しくお願いを申し上げます。どうか末永く(^^)
 DVD変換は確かに高価でしたが、やって良かったですよ。お薦めしたいです。
 僕の実家にも、昔の8mmフィルムが山のようにあるはずなので(紛失していなければ)、本当なら全部DVD変換したほうが良いのですが……(^^;
 あらためて見てみたくなっちゃいましたよ。
円山
2008/06/11 19:19
円山さん、こんにちは。

良い写真ですね。相方さんの愛くるしい笑顔が、いかにご両親に愛されていたかを示してて、全然関係ない私も嬉しくなります。円山さんにすると、なおいっそうでしょう。

お互いにお互いの親を思い合い、お互いの過去を愛おしめるってのは、良いことだと思います。

ものすごく当たり前の感情ですよね。

ゲイのカップルとかどーとか、吹き飛ばす感じですよね。

ちなみに、第三者から見て可愛らしくても、本人が公開を拒絶するケースは多々あるかと・・・

相方さんのOKは簡単に得られたんですか?
名古屋のきりたんぽ
URL
2008/06/12 07:12
>名古屋のきりたんぽさん

 >>>ゲイのカップルとかどーとか、吹き飛ばす感じ>>>
 そう言って頂けて、本当に嬉しいです。

 画像については、もちろんヤツの了解を取り付けた上での掲載です。とくに説得をしたわけでもありません。僕から見れば、今のヤツと幼少期のヤツは全く変わらないと感じますが、皆様がご覧になる限り、どこの誰とは判りますまい。このぐらいなら大丈夫と、当人も思ったのでしょう(^^;
円山
2008/06/12 17:36
仕草にとても雰囲気が出ていて可愛いね♪大人になっても男は幼少期の面影を残していますね。(女は化粧するからわからなくなるのかな?^^)この前、テレビで松井秀喜の幼児の顔を見ました。「どっひゃ〜!」と思わず、ずっこけるほど今の顔そのものでした。リンクありがとうございました。リンクってどうするのでしょうか。仕方をいつかヒマなとき教えてください。トラックバックもよくわかりません。(まだまだパソコンはよくわかりません。エロだけは長けてますが、、^^)
エコロ爺
2008/06/19 08:14
>エコロ爺さん
 ヤツは、僕とは違い、本当に子どもらしい子どもだったことがよく判りました。
 ウェブリブログ同士ですから、フレンドリストの追加承認をしていただければ良いはずなのですが。ここで説明するのはスペースの関係上、むずかしいのでご容赦を。どうか悪しからず(^^;
円山
2008/06/19 11:21

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