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4日の日曜日。<世界のお茶の専門店・ルピシア>主催による、<ダージリン・フェスティバル2008・ジャパン>へと足を運んだ。 高級紅茶・有名産地の一つ、インド・ダージリン地方。ヒマラヤ山脈に沿う、その霊妙なる土地には、紅茶を産する七つの”谷”―――ダージリン・ウエスト/ダージリン・イースト/ティースタ/ロンボン/ミリク/クルセオン・ノース/クルセオン・サウス―――があって、1852年以来、数多くの”茶園”が伝統的方法で精製してきた、それぞれ独自の紅茶の味を競い合って、現在に至っている。そのうち、代表的な40の茶園で、今年の春に摘まれたばかりの<春摘み紅茶=First Flush>を一堂に集め、太っ腹にも無料試飲を振る舞おうというのが、このイヴェントの主旨だ。 ・ 〔参考〕ダージリン・フェスティバル2008・ジャパン http://www.lupicia.com/event/ 茶園ごと、紅茶の味に特徴があることなど、そうなのだと教えて貰わない限り、なかなか考えたり気付いたりは、できないものだ。普段、そこまで紅茶の奥深さを認識しながら味わおうとしてこなかった、僕の”不風流”ぶりがバレてしまう話だが、紅茶の味の幅広さに、僕が初めて驚かされたことを、この際、正直に白状しておきたい。 とは言え、会場に用意された40種類の紅茶すべてを試飲したわけではなかった。半分の20種類を味わったかどうかであった。それでも、お腹はお茶で一杯になった。 パンフレットや表示ボードの解説にあったような微妙な味の特徴―――すっきりした《若々しい青みのある》/どっしりした《香ばしい》/爽やかな《花のような》/豊潤な《フルーティーな》―――を示す指標を、僕の舌が理解できるときと、そうでないときとがあって、主としてその原因は、僕のデタラメな味覚が、もとより当てにならなかったことだろう。あるいは、立て続けに紅茶を巡り飲んだことで、舌にお茶の渋味だけが堆積してしまったからかもしれない。 お酒なども同じだろうが、お茶のテイスティングには、それなりの正しくデリケートな方法論があって、微に入り細に入り味や風味を吟味する、そのミクロ感覚こそが楽しみに通じるに相違なく、僕のガブ飲み/一気飲みでは、もはや目も当てられないといった態だったろう。 ただ、強いて僕の主張を呈すれば、このイヴェントに際し、40種類の試飲紅茶、それぞれ振る舞うのを担当する係の人たちの”淹れかた”には、統一されたマニュアルや、技術的同一性が正確にあったのだろうか。つまり、どの種類の試飲紅茶も、果たして同一条件で淹れられたのだろうかと、ちょっと、その部分にだけは疑問符が付いた。でも、ちょっとだけの小さな疑問符だ。 僕は、ミリクという名の谷で産し、シンブーリ茶園で精製された紅茶を試飲したとき、「これは、香りも豊かで、しっかりと味がするぞ。しかも美味い!」と、この日はじめて、紅茶を本当にテイスティングできたような心持ちになった。だが、お値段が突出して高価だった。なるほど―――と感じた。 ふと、ミリク谷のブースの内側へ視線を移すと、そこには、顔見知りのルピシア社員さんが、お揃いのオレンジ色・イヴェント・ティーシャツ姿で微笑んでおられた。石川さんだ。 この2月に、<LGBTA レインボー音楽茶会>を担当/司会された、あの温厚にして穏やかなる紳士であった。 ※石川さんと僕には、どうやら仏縁があって、”チベット”をキーワードに意外な結びつきがあることを、その<音楽茶会>のあとに知った。ともに、チベット方面に知己を持ち、今般、世界中から注視されることとなったチベット問題に心を悩ませている。 〔参考〕 【スケッチノート】 ゲイフレンドリーな企業意識のあけぼのを見る http://tapten.at.webry.info/200802/article_10.html ルピシアは、東京プライド・パレード・2007へのブース出店を手始めに、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)が気軽に相集い、美味しいお茶に食事に、そして素敵な音楽に親しめる<音楽茶会>を企画するなど、LGBTへの積極的サポートを企業理念として明確に打ち出している。日本で、こうしたLGBTフレンドリー企業は、まだ数少ない。いや、ほとんど皆無だと言って良いのかも知れない。 LGBTが、自らの性的指向についてネガティヴな隠忍を抱くことなく、伸び伸びと働きやすい職場環境を整備しようとの、積極的な社内方針を打ち出した日本IBMでさえ、対外的に、LGBT支援を打ち出しているわけではない。 ルピシアは、この5月18日(日)に行われる<神戸プライドマーチ2008>へも協賛をしている。LGBTイヴェント担当の石川さんによれば、5月10日(土)〜11日(日)に、大阪でも<ダージリン・フェスティバル2008・ジャパン>を開催する都合で、神戸のLGBTパレードに人員を派遣する段取りをつけることはできなかったものの、出場者への記念プレゼント配布用に、紅茶セットなどの数々をすでに現地・パレード実行委員会宛に送付済みであるとのことだ。 〔参考〕神戸LGBTIQプライドマーチ実行委員会 http://pksp.jp/idaho-kobe/?&m=80&o=10 そうした心強い応援は、もちろん来る8月に予定されていた東京プライド・パレード2008でも、果たしていただけるはずだった。昨年と同様、代々木公園のメイン会場にブースを出し、当初はお茶を振る舞って下さるような企画構想があったことを、つい先日、石川さんから伺ったばかりだったのに……。 このほど、東京プライド理事会から示されたパレード中止〜開催延期の発表を受け、石川さんが発した一声は、 「どうしちゃったんですか? パレード……。なんか、残念ですよねえ……」と、戸惑いに満ち、脱力感を伴うものだった。僕は、ただ頷くしかなった。 パレード中止の衝撃は、ルピシアのようなLGBTフレンドリー企業が育んできた意気込みをも削いでしまう恐れがある。東京プライド・パレードには、LGBTの当事者だけではなく、LGBTに理解のあるLGBTではない人たちの強い期待もまた、寄せられていたのだ。 思い起こせば、昨年の東京プライド・パレードは、厚生労働省や東京都からの後援を初めて獲得していた。東京のLGBTパレードが、行政による公的認知を得るところまで成長をしていたわけである。 LGBTパレードが、企業や行政によっても社会的に認知されることは、あえて申すまでもなく素晴らしい。LGBTそのものが、その存在を、いきざまを、諸々の意味で社会的に受容される過程だと、誰もがシンボリックに認識できるからである。 しかし、いっぽうで、そうした成功のステップが大きなプレッシャーとなって、パレードの運営サイドに”のしかかる”ことになった結果、次回のパレードを”さらに進化させなくてはならない”と、かえって”焦り”を生じさせてしまった。皮肉なことである。 東京プライド理事会から示された”開催延期についてのお詫びとお知らせ”にある、『理事会と実行委員会間でパレードの運営方法やその体制に関わる議論が定まらず、パレードの準備に遅れが生じ』た第一原因は、パレードの実行委員を完全公募制としたことにあると、分析することができそうだ。完全公募制にするとの判断は、パレードの企画運営が一部の特定グループによる独裁状態にあるとの<的外れな批判>をかわそうと、理事会側が焦ってしまったゆえだったと、僕には受け取れる。 〔引用/参考〕東京プライド・ホームページ http://www.tokyo-pride.org/20080501.html 東京のLGBTパレードは、まだまだ進化の途上にあり、決して盤石な土台の上に定着しているわけではないと想う。たとえ、非民主的だとの当たらない批判を浴びようとも、進化途上の現段階では、経験ゆたかな指導者グループが次々と”下知”、”下命”を為し、率先して引っ張って行かないことには、これだけ巨大化した東京のパレードを成し遂げることは極めて難しいだろうと、僕のような運営部外者でも、少々考えれば想像できる。無経験者をも含めて実行委員を広く公募するのは、まだ時期尚早だったのかも知れない。 第7回東京プライドパレードを、来年5月23日(土)に延期開催できるかどうかは、まったくの白紙状態である。現に、実行委員会は解散してしまったからだ。 もしかすると、来年5月でさえも開催できない可能性は、あるかないかとなれば、―――ある。 もちろん、それでは輪を掛けて残念だと感じ得るし、落胆や絶望の嘆き声は重々しく、いつまでも引き摺られて這うことにもなり得る。ルピシアのようなLGBTフレンドリー企業や、厚生労働省、東京都といった行政機関の善意/理解を踏み躙ることになるとも言える。 しかし―――。 しかし僕らは、これ以上、東京プライド理事会の皆さんに無用なプレッシャーを与えることのないように、今後の事態を静観し続けるようにしたほうが良いのではないだろうか。東京のパレード、そのともしびを絶やしたくないとの真心があるのなら。 成功や成果が、次への期待を産むのは当然の流れだ。でも、期待が期待を呼んで一人歩きをすることで、一層の完璧さが求められるとの思い込みから重圧を背負う羽目になる運営サイドは、ついつい実態を買い被って、早まった挑戦をしてしまう。 その気持ちや判断を責めることはできない。きっと、誰だってそうした魔境に陥る。それが、人間というものである。 然らば、ここはルピシアの紅茶でも美味しく飲んで、一息つこうじゃないか。 よけいな力を抜いて、一度、思い切り気楽になろうじゃないか。 パレードが開催されようがされまいが、いずれにせよ、僕らの行進は永遠に終わらないのだから。 クリックプリーズ ![]() |
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円山 2008/05/07 03:59 |
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