|
ごく基本的で、かつ良心的な判断力があれば、偏見―――つまり偏ったものの見方や考え方に囚われることは、あまり自慢できることではない、ぐらいのことは容易に理解できるはずです。 なのに、往々にして人というもの、仲良しクラブから弾き出されることを嫌うあまり、多数意見に同調し、当たり障りのない姿/景色にばかり重きをおいて、ひたすら、ことなきを得ようとするのでしょう。 たぶん、幼いころからの習慣で、周りの人々が概ねどう認識しているかに強く影響を受け、さしたる思考を経ずして、物事に対する判断、価値観、通説などを鵜呑みに消化/吸収/採用してしまおうとするのです。それも、無理からぬことかも知れませんが、人間、だんだんと年をとるに連れ、経験を積み、考えを深めて、単一的思考ではなく、少しでも多くの情報を複合して、さまざまな側面から立体的に物事を把握しようと、成長を果たしてゆくのが、宜しいかと存じます。 僕もそうありたいですし、多くの人たちが、そのように心がけておられるものと信じます。 たまたま、ごく最近、<見た目が美しい同性愛は嫌悪されないだろうが、見た目が醜い同性愛は、嫌悪されても仕方がない>というインターネット上の”ありがちな意見”に接し、匿名性を良いことに屁理屈を撒き散らす輩が絶えないものだと、深く溜め息をついていたところでした。 その匿名意見者が、何を美醜の基準にしているかなど、僕には判りようがありませんが、いずれにせよ、偏ったアンバランスな思考に囚われた人だと言わざるを得ません。 何を美しく、また何を醜いと感じるかは、人それぞれです。 もちろん、美醜に一定の普遍性があることを決して否定はしませんが、それらは例えば、大自然が織り成す/彩る山河の絶景、空や海の色、動植物の姿形や生きる営みなどを、ことのほか美しく思い、逆に、腐敗した死骸、ひり捨てられた糞便などを醜いと遠ざける―――といった程度の感覚的性質です。それにせよ、腐敗物や死骸の造形を敢えてアートの素材にしたり、糞尿にこそ性的興奮をそそられるフェチがあったりと、やはり一概には言えないことを申し添えなくてはなりません。 つまり、生物の死骸をもアートに見立てようとするアーティストや、糞尿フェチを<好む/好まない>は脇へ置いて、そうした意想/価値観もまた現実に存在することについては、しっかりと認めなくてはならないのでしょう。それが、偏見を持たないということです。 なにも、ゲイを好きになれ―――とは言いません。同性愛が嫌いな人に、いきなり好きになれと説いて、「ハイ、そうですか、わかりました。では、明日からそうしましょう」とは答えますまい。同性愛が嫌いだと言う人は、自分自身が”同性愛化”することが絶対に耐えられないと感じる人なのでしょう。そう理解することで、無闇に親近感を強制することのできないテーマなのだね―――と実感/納得することができます。 僕は、糞尿プレイをしたいなどとは、たぶん一生涯を通して思わないでしょうけれど、現に糞尿プレイが好きな人たちを、いたずらに蔑むような態度や行動は慎みとうございます。ちなみに、僕はなかなか理解されない”脚フェチ”。お互いさまです。 斯かる文脈から、<見た目が美しい同性愛は嫌悪されないだろうが、見た目が醜い同性愛は、嫌悪されても仕方がない>との意見には、かなり危ういものを感じると、導くことができます。 僕は、男同士がキッスを交わすシーンを美しいと感じます。いわゆる美少年同士だろうと、そうでなかろうと。 ときに、男同士のキッスが、あくまでエロ素材として表わされているのなら、それは所詮エロ。おそらく、エロい気持ちしか湧かないはずです。それなら、それで良し。 でも、男同士のキッスに愛する人間同士の真の心を見出し、打たれる何かを感得できるのなら、どのような男同士のキッスだろうと、美しく眺めることができましょう。 見た目の醜さを嫌悪してやまない人なら、同性愛ならずとも、見た目が醜い異性愛(……と、その人が思うもの)もまた、嫌悪の対象になるのかも知れません。 論理的に見て、そのような人は、自分自身の見た目が醜くないことを前提に性愛を語っておられるに違いありません。もし、自分自身が醜いことを認めてしまうと、自分自身の性愛を嫌悪の対象にするといった自己矛盾に陥ってしまいますから。 他人様(ひとさま)をとやかく言う前に、まず自分自身の身の程を知っておかないと、後で恥ずかしい思いをする羽目になるものです。 ゲイの画家が、例えば”毛むくじゃらで熊のような”男性の裸体を絵画に描いたとして、見る者の誰にも決して嫌悪感を催させないとしたら、それはいったいどうしてなのでしょうか。表現者としての画力がそうさせるのでしょうか。それだけではないと想われます。 熊のようであろうと、極端な肥満体であろうと、頭髪が薄くなっておろうと、描写する<男性の本質に美と愛おしさを覚えるゲイ>ならではの感覚こそが、しばしば、心ない偏見によって”見た目が醜い”と断じられ、蔑視されがちなゲイ男性の景色をも、誠に見事なる芸術作品として、立派に表現し切ってしまうのだろうと、僕には容易に察しがつきます。そのような画才が僕にもあればと、いささか残念な気持ちでおります。 鑑賞者がゲイであろうとなかろうと、ゲイ・アーティストが創り上げる作品を目にするとき、ゲイの視点、眼差しがいかなるもので、ゲイがどのように男性美を見出し、男性を愛おしんでいるかを、きっと如実に、あたかもそれらが我がものであるかのように感覚することができるに違いありません。 ところで、<Rainbow Arts>という芸術イヴェントは、ゲイ・アーティストのみに出展者を限定しているわけではありません。出展者の性自認/セクシュアリティに、何ら縛りはないとのことですし、また作品テーマについても、取り立てて”ゲイっぽさ”を意識する必要は全くないそうです。 2000年から始まった<Rainbow Arts>は、今年で9回目の開催となります。 「Rainbow Arts 2008」:予定されている日程 現在、Rainbow Arts 2008・実行委員会では、出展者を募集しておられます。 作品ジャンルは不問で、これまでは、イラスト・絵画・オブジェ・映像・写真・工芸・音楽・パフォーマンスなど、さまざまな種類のアートが展開されてきたようですし、また、例年40名ちかい出展者のほとんどがアマチュア・アーティストである―――とのこと。グラフィック系のお仕事をなさっている方や、美大/アート系専門学校の学生さんなどのほか、とくに芸術専門的なご職業でない方たち、アートの勉強をしてこられたわけではない方たちなどの出展もあったそうです。加えて、年齢や居住地域も不問。―――要は、オリジナル・アート創作の意気込みがある方だったら、どなたでも出展できるということでしょうか。 〔詳細〕 「Rainbow Arts 2008」参加者募集のおしらせ http://gcom.dyndns.org/~rainbowarts/about/about-frmset.html 芸術的な素養の乏しい僕ではありますが、それでも作品を鑑賞することは大好きです。 プレ展、本展とも、ぜひ観に参りたいものと心得ます。 今年の東京は、LGBTパレードのない夏を迎えることとなりますが、きっと、LGBT関連のイヴェントが、この恒例<Rainbow Arts>を含め、いくつか”力強く”催されることと期待をしております。 クリックプリーズ
|
| << 前記事(2008/05/19) | トップへ | 後記事(2008/05/21)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
I appreciate art and gay art all the most, but I think that all over the world gay situation need call for action! take for example what's happening about gay in italy: http://www.gay.it/ |
gay URL 2008/05/20 18:36 |
え、脚フェチってあまり理解されてないんですか?(←そこかよ) |
アッキー 2008/05/21 00:52 |
>Mr. Gay |
円山 2008/05/21 08:13 |
>アッキーさん |
円山 2008/05/21 08:20 |
脚フェチですかぁ。私は手フェチです。きれいな手を見ると、女性男性を問わずドキドキします。チラッと見てドキドキするぐらいで、何をするってワケじゃありませんけど。 |
名古屋のきりたんぽ URL 2008/05/24 21:29 |
>名古屋のきりたんぽさん |
円山 2008/05/25 08:53 |
「醜いゲイ/レズカップル」に嫌悪する人間は、「醜い男女のカップル」にも黙っちゃいないですよ、きっと。 |
yoshi 2008/05/29 03:24 |
>yoshiさん |
円山 2008/05/29 10:11 |
あはは。成長した子に対する『可愛くない』という親の言葉は、同時に自分自身も老いたことを実感した親の最大の照れ隠しかじゃないかなぁ。わたしは円山さんと逆で幼年期から『可愛げがないっ』と言われつづけ、自立した時に『いい子になった』と言われました。純が故に素直すぎて空気が読めなくて、傷つけていたのか・・・と今後悔しても遅いですが・・・。 |
yoshi 2008/05/29 22:28 |
>yoshiさん |
円山 2008/05/31 07:40 |
本人は浅はかで直情的ですが、たまには深いことを言えるようです。 |
yoshi 2008/06/03 00:22 |
| << 前記事(2008/05/19) | トップへ | 後記事(2008/05/21)>> |