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help リーダーに追加 RSS 【コラム】 ゲイ/レズビアン 第1弾<NHK・ハートをつなごう>

<<   作成日時 : 2008/04/09 11:07   >>

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 ゲイであることを噂される芸能人は、たとえ本当にゲイであっても、カミングアウトすることは、ほとんどない。
 おそらく、ゲイの芸能人だと判ることで、人気が落ちるかも……と憂い、仕事を干されてしまうかも……と躊躇うのだ。

 昨年の、NHK・紅白歌合戦に、性同一性障がい=GID=トランスジェンダーであることを公にしている、シンガーソングライターの中村 中が堂々と出場し、多くの視聴者たちへ共感/理解を拡げたと言われるが、同じ”紅白”でも、同性愛者だと公言するようなミュージシャンやタレント、俳優/女優などの出演は、ついぞ聞いたことがない。
 ”紅白”常連の美川憲一は、明らかにゲイの一人なのだろうが、それは、あの立ち居振る舞いや言葉遣いで強烈に表現しているから否応なく判るのであって、彼自身が、
『私はゲイです』と言って自己を表現した場面を、僕は見聞きしたことがない(……僕だけかも知れないが)。
 とは言え、美川憲一は、NHKの番組へ”頻繁に”出演するゲイという珍しい/例外的な存在ではある。

 トランスジェンダー(性同一性障がい/GID)が、先天的な障がいと見なされるようになり、同性愛者よりも先に、理解の”市民権”を得つつあるような格好になっているが、僕の勝手な意想では、トランスジェンダーと同性愛は、全く別個のものだと区別するよりも、兄弟姉妹のようなものだと考えたほうが、しっくりとくる。
 セクシュアリティー・グラデーションの中では、トランスジェンダーも同性愛も、同じ方向性/両端性を持った直線上に座標を置くことができる―――と、僕には思われるからだ。

 トランスジェンダー(性同一性障がい/GID)の場合、心の性と身体の性とを一致させるため、身体の性のほうを適合させる必要が生じ、どうしても医学的処置が求められる。それゆえ、これを障がいと位置づける。
 いっぽう、同性愛は、WHOの国際障がい疾病分類から除外され、<同性愛=精神病>との扱いから解放されている。

 トランスジェンダーは障がいだが、同性愛は病気ではない。
 それはそれで正しいのだが、こうした判断によって、逆にトランスジェンダーのほうが先に、公的/社会的認知を奨励されているような傾向があることは、確かである。

 お隣の国・韓国では、2006年10月に開局したばかりのケーブルTV局<tvN>が、この4月14日から『カミングアウト』という番組をスタートさせるらしい。
 同性愛者としてカミングアウトを果たしている俳優(男優)のホン・ソクチョン(37)と、『恋するハイエナ』というドラマでレズビアンの役を演じた女優のチョン・ギョンスン(44)が、二人で司会を務める。

 俳優・ホン・ソクチョンは、いまから7年前に自らゲイである事を、韓国の芸能人として初めてカミングアウトしたのだそうだ。
 大騒ぎとなって、出演番組を全て降板せざるを得なくなり、社会的批判から、長らく仕事を干されてしまった。
 しかし、のちに、ニューヨーク・タイムズ紙が、彼を<アジアの若い英雄20人>の一人に選ぶなど、現在では、韓国世論も彼の勇気を称える状況に変わってきたようだ。

〔参考〕
ホン・ソクチョン「カミングアウトはしない方が…」
http://www.chosunonline.com/article/20080408000065


 『カミングアウト』という番組の意図は、同性愛者に対する差別/偏見/無関心が横行している韓国社会にあって、カミングアウトができないまま、苦悩し続けている当事者たちの相談に乗ろうというもの。
 ホン・ソクチョンが、勇気ある一般出演者(同性愛者/性的マイノリティ)たちを応援する役回りを担当し、チョン・ギョンスンは、客観的に、家族/友達/教師/同僚など、カミングアウトをされる側の葛藤を伝える役割を果たす―――とのコンセプトのようだ。
 番組の最後で、同性愛者/性的マイノリティである一般出演者が、カミングアウトをするかどうかを判断するとのこと。

画像

 ※ホン・ソクチョン(左)とチョン・ギョンスン(右)

 低俗な興味本位から同性愛/同性愛者、あるいは”新宿二丁目のゲイ酒場”などを特集的に取り上げるTV番組なら、これまで日本でも、かずかず放映されてきた。
 大抵は、通り一遍の取材しかしていないような、軽薄でお安い番組内容だったと、僕は認識してきたが、もしも韓国のTV番組『カミングアウト』が成功するようなら、近しい社会文化を持った日本でも、同様な番組企画を考えてみることが必要だろう。
 ケーブルTVでもBS放送でも、差し当たってどこでも良いから、日本の放送業界も、韓国に見倣って、いままで重かった腰を、どうか上げて欲しいものだ。

 そう思っていたら、NHK教育TVが、この4月28日(月)/29日(火)の両日(午後8時〜8時29分)、『ハートをつなごう』という番組で、<ゲイ/レズビアン 第1弾>と称する特集を、放送する予定だと知った。

 この 『ハートをつなごう』は、”福祉問題”をメインテーマに掲げ、月に一度のペースで、これまで、発達障がい/シングルマザー/障がい者/ひきこもり/子どもへの虐待/貧困/認知症、そして性同一性障がい(トランスジェンダー/GID)といった個別の諸問題に切り込んできたようだ。
 当事者や周囲の人々の苦悩や解決策を語り合い、励まし合って、明るい展望を見出そうと、きっとNHKらしく、真摯な態度で臨んできた番組であるに違いない。(あいにく、僕は視たことがなかった。)

画像
http://www.nhk.or.jp/heart-net/hearttv/

 同番組のサイトでは、意見投稿を呼びかけているので、僕も近々、何かを書いて送ってみようと考えている。

 <ゲイ/レズビアン 第1弾>には、去年の参院選に出馬した、元・大阪府議、レズビアンの尾辻かな子さんと、彼女のお母さんが出演するらしいが、尾辻さんに話を聞いたある方の言によれば、意見投稿は、第2弾〜3弾を想定して、募集しているとのことである。

 ただ、ひとつ感じたのは、同性愛者=ゲイ・レズビアンの問題は、”福祉”の領域に該当するテーマなのだろうかとの、純粋な疑問だ。
 ことさら深刻に捉えているつもりはないが。

 だが、僕の考え方では、ゲイやレズビアン、あるいはバイセクシュアル、もしくはヘテロセクシュアルであることは、血液型がAなのかBなのか、ABそれともOなのか―――と、そのような違いと近いものがあるように感じるから、先述のように、性同一性障がいが”性適合”を必要とする観点から、手術やホルモン療法など、生殖医療の対象になることと異なり、同性愛を”福祉”の土俵で扱うことが適切なのかと、ちょっと首を傾げたくもなる。
 つまり、同性愛の諸問題は、社会的な色合いのほうが濃いのではないかとの印象である。

 もっとも、『ハートをつなごう』という番組が、シングルマザー、ひきこもり、貧困、など、社会的側面から語られることの多いテーマまでも網羅していることからすれば、併せて同性愛について取り上げても、何らおかしいことはないのだが。

 あの慎重なNHKが、同性愛問題を語り始めることそのものは、高く評価できる。
 あくまで”福祉”テーマの一環として話題を持ちだそうとする方法論には、NHKならではの懸命な配慮が仄めかされていると、一応、一定の信頼を置いて、受け取っておこう。

 意地悪な書き方をすれば、性同一性障がいへの理解を高めようとする試みが、その後に続いてくるであろう同性愛者容認の”露払い”を仰せつかってきたようにも見えているのだから、案外、NHK―――『ハートをつなごう』の企画判断と実行は、これからの日本における同性愛理解への道筋に連なるものとなるのかも知れない。


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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
韓国にそんな俳優さんがいらしたなんて全然知りませんでした。韓国の方が宗教や風潮の風当たりがキツイのに、大変な勇気だと思います。NHKの番組は、どういう風に放送するのか拝見したいです。福祉っていう観点で、あまり自分達の事を意識したことがないですし。まだまだ同性愛っていうイメージがとうしても性的なものとしてしか捉えられていない(それはノンケにもゲイにも言える)気がします。もっと家庭とか家族に関する事や、差別や権利の問題、宗教との関りや、生理学的な研究(同性愛が生まれてくるメカニズムとか)そういうの番組が増えてほしいと思う。
mcglow
2008/04/12 13:22
人を愛することに一つ壁があるだけなのに、その壁高くしてるのは確かに社会的理解の低さですね。特番は結果的に特別意識や「可愛そうな人」意識を高めるだけに終わることが多くないですか?理屈をこねるより、やっぱドラマや漫画で自然にジワジワ洗脳する(情報を与える)のが一番ですよ。オカマやそれっぽい人はTVドラマや漫画には出てくることがあるので、最近までゲイ=オカマ(性同一性障がい?)と思ってました。そういえば、TBS系日曜ドラマは家族で見るドラマ枠ですが、以前から同性愛者が中心的役割で登場してますね。『佐々木家の仁義なき戦い』では、国民的俳優の山本耕史が、途中から同性(オカマっぽい人)を好きになって悩んだり、女性と無理に付き合おうとしたり、相手のために努力したり、最後は両親と対面するシーンがあったりと、オカマだけではなくゲイへの理解の広がる演出?が多々ありましたね。
yoshi
2008/04/12 18:52
>mcglowさん
 全て同感いたします。NHKは、同性愛をどのように捉え韓流は詳しくないので受け売りの話になりますが、昨今、あの国では同性愛がモチーフになった映画作品が少なくなく、やれ、誰それのイケメン男優がゲイの役を演じたとか、じつは私生活でもゲイだと噂されているとか、本人が慌てて否定の会見を開いたとか、妙に同性愛を巡るニュースが目立ちます。不思議ですね。でも、社会的意識が賛否はどうあれ、同性愛について真摯に向き合っているとするなら、韓国のほうが日本より進んでいると言えるのでしょうね。
円山
2008/04/14 05:50
>yoshiさん
 TBS系日曜ドラマをはじめ、僕は、ほとんどのTVドラマにうとくで、具体的なことは知りませんでした。ゲイ/同性愛者がドラマのモチーフとして、たとえ主役でなくても、しっかりと堅実に描かれているとすれば、結構ことです。アメリカのTVドラマだと、レズビアンたちの人間関係をストーリーのベースに置くなど、かなり感覚的に先へ進んで行ってしまいました。
 
 政治家も国政従事者も、似たようなところがあって、江戸時代の高札みたいに、いついつより、これこれを、してならない―――と掲げておけば、それで事は片付いたと安心してしまうのでしょう。
 児童ポルノには、撮影時点に問題を抱えます。年端の行かない児童を使って、性行為をさせる場合が含まれるとあらば、これは禁止しなければなりません。
円山
2008/04/14 06:04
週刊新潮にも、NHKでゲイをとりあげることを記事にしていました。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/
th
2008/04/18 18:07
>thさん

 そうでしたか!
 どのような放送になるのか、まずはよく視ておきたいです。
 うっかり視逃さないようにしないと……。
円山
2008/04/19 10:59
はじめてお邪魔します。
チョン・ギョンスンさんを検索していてたどり着きました。
韓国ドラマファンなので、ホン・ソクチョンさんの話は知っているのですが、チョン・ギョンスンさんもカミングアウトされたのでしょうか?
彼女は「恋するハイエナ」というドラマでレズビアンの役を演じていらっしゃいましたが、ご本人はデザイナーのご主人がいらっしゃるので驚きました。
この番組に関して、「ホン・ソクチョンは、出演者に共感し支持する立場に立ち、チョン・ギョンスンは一般人の立場から客観的に同性愛について眺める。」と書かれたニュースもありましたので、ご確認いただければと思います。
ブログの趣旨と合わないコメントでしたら申し訳ありません。
韓国ドラマ好き
2008/04/20 17:43
>韓国ドラマ好きさん
 大変、申し訳ありませんでした。
 チョン・ギョンスンのセクシュアリティーにつきましては、おそらく貴方の情報が正しいのだろうと想います。
 僕が情報源を読み違えたのか、早とちりをしたのか、いずれにせよ迂闊なことでした。
 お詫びして、記事を訂正させていただきます。
円山
2008/04/22 04:57

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