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help リーダーに追加 RSS 【A Gay's Mumble】 養子縁組を視野に入れて<36歳と46歳のゲイ、二人>

<<   作成日時 : 2008/04/22 12:51   >>

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 ヤツのお母さんが亡くなってから、一ヶ月が経った。

 彼女が、ガンという重い病気に冒されていたことを、ヤツも僕も、充分に承知していたつもりだったが、亡くなったときは、とても呆気なく感じた。
 亡くなって欲しくないとの強い気持ちが、まさか、そんなにも早く……との驚きを招き、悲しみを催させた。

 いまになって初めて判る。
 去年の夏以降、入退院を繰り返していたヤツのお母さん。
 病状の経過を冷静に辿ることが、ようやくできるようになったヤツと僕。

 タチの悪いガンだった。
 フィブリノゲン投与によるC型肝炎まで患っていた状態だったにも関わらず、ガンとの診断が下ってから亡くなるまで、ヤツのお母さんは文字通り懸命に生き抜いた。
 C型肝炎があったために、抗ガン剤をめったやたらに使うわけにも行かなかった。困難な治療だったのだ。
 担当医師の、賢明/適切な医学的判断があってこそだったということも、いまになって判ってくる。
 厳しい条件のもと、ヤツのお母さんは精一杯、生きられるだけを生き抜き、そして酷い苦しみかたをすることなく、安らかに亡くなった。

 介護の助力を尽くすことができなかったと悔やみ嘆いていたヤツも、出来る限りのことをしたのだからと、次第に自分を責めなくなりつつある。

 毎日、ヤツと僕は一緒にいる。
 一緒に暮らすようになっている。
 家族の全てを失い一人きりになってしまったヤツは、僕を必要とし、僕はヤツのそうした気持ちが痛いほどに判る。

 ヤツが、連日病院へ見舞いに行っていたあいだは、病院から近かった僕の住まい―――マンションに、ヤツはずっと寝泊まりを続けていた。

 ヤツのお母さんが亡くなって、葬儀を滞りなく終えてからは、ヤツがお母さんと親子二人だけで暮らしてきた2LDKの団地の部屋へ、僕のほうが転がり込むようにして<同棲生活>が始まった。

 リビングのテーブルには、ヤツのお母さんの遺骨が置かれ、穏やかな微笑みを湛えた遺影が並ぶ。
 仏壇へ納める位牌が仕上がり、さきおとといだか、葬儀屋が送って届けた。
 ゴールデンウィーク明けに、四十九日の法要、そして納骨が予定されている。

 ヤツのお父さんは、12年前に亡くなった。
 ヤツには、兄弟姉妹がいない。

 ヤツも僕も、予め何の申し合わせもなく、自然に、これから一緒に生きてゆくことを決めた。
 そうするのが、全く当然であるかのように。

 僕が住んできたマンションは父親の名義で、僕は管理費や修繕積立金、光熱費を負担しながらも、家賃0円のスネかじりで(……とは言え、あれやこれやで月に10万円近い出費になったのだが)、これまで約20年のあいだ借り受けてきていた。
 父親の厚意に、甘えられるだけ甘えてきたことには、相当の負い目があった。

 昨日、これまでの感謝の気持ちを伝えつつ、
「いよいよ、あそこを出てゆくよ」と、僕は父親に伝えた。
 母親の病室。
 ベッドの上で、父親と僕とのやりとりを聞いていた母親には、おそらく何の話をしていたのか解らなかったと想う。
 母親の認知症は、比較的、軽いとは言えるものの。

 85歳になる父親へは、<ルームシェアとは何か>を説明することから始めた。
 ヤツと僕の、<本当の関係>を告白することは、いまさら無意味なのだ。
 ヤツのことを<親友>と呼び換え、ヤツのお母さんが亡くなったことを、<親友のルームメイトが都合で退去/独立することになった>と言い換えた。
 ルームシェアは、家賃をはじめ生活費を節約するための現代的/合理的方法だから、<退去/独立することになった親友のルームメイトの後釜>に僕が納まることが、親友にも僕にもメリットになるのだと”解説”したら、父親は案外あっさりと騙されてくれた。

 父親を騙すことは、もちろん本意ではない。
 しかし、ヤツと僕のような同性カップルが結婚できない日本社会の現状では、ああでも言って騙さないことには、僕が約20年ものあいだ住み続けてきた父親のマンションをポンと飛び出す上手い理由付けにはならない。

 それと、父親が暮らす実家の一帯が、数年後、再開発事業によって取り壊される計画が進められている。
 実家の父親と兄とが代わりに住まう場所として、父親のマンションは最適で、僕がそこを出てゆくことは、全体を展望すれば理に叶っているとの大きな流れもまたある。

画像

 問題は、これからヤツと暮らしてゆくことになる団地である。
 立地条件や間取りには一切、何の不満もない。
 本来なら、二親等以内の家族としか同居できないなどの管理規定があるはずだ。
 いずれ僕が、こちらへ住民票を移動したときに、果たして何が起きるのだろうか?

 仮に、僕がヤツの部屋に転がり込んでいることが判明した場合、団地の管理サイドから、二親等以内の家族ではない者とは同居できないと釘を刺され、ひいてはお咎めを被る羽目になる恐れがある。
 ルール違反を避けるために、どのような方策が考えられ得るだろうか?

 実際に、二親等以内の家族になってしまえば良い。
 簡単なことである。


 僕はヤツに、団地の管理サイドからクレームが出た/出そうな場合のことを想定して、いざというとき、ヤツと<養子縁組>をする心づもりであることを、すでに話してある。

 年上の僕が養父になるのだが、法的/公的に、ヤツは僕の名字を名乗らなければならなくなる。
 でもそれは、運転免許とか、納税とか、契約とか、そのような場面でだけのことで、私的には、これまで通りヤツの元の名字で振る舞えば済むことなのだが、当のヤツにとってみれば、そうしたことが、かなりの精神的重圧になるようだ。

 養子縁組をしたことなど、他の誰にも言わなければ、戸籍や住民票を見ない限り判らない。戸籍や住民票は、本人の同意がなければ、親類とて易々とは取れなくなっているのが、現在の常識だ。
 心配など要らないのに、ヤツは養子縁組をすることが、即、カミングアウトに繋がるとして、やけに警戒する。

 ヤツも僕も成人だから、二人の同意があれば、養子縁組はその日のうちにでもできる。
 必要なのは、2名の第三者(成人)が証人になることだが、それは容易い。
 僕の無二の親友に、その際、証人になってくれるよう依頼してある。
 夫婦で証人になって貰えば、御の字だ。

 日本に、まだ同性カップルを含むパートナー制度あるいは同性結婚の制度がない以上、僕らが正式な家族だと名乗るため、法的に処理できる手続きは、養子縁組しかない。

 これからのヤツと僕は、養子縁組の成立を模索しながら、少なくともパートナー制度の実現だけでも、真剣に訴えてゆくべき必要性を切実に感じてゆくことになる。

 同性カップルだからとの理由だけで、団地でさえ一緒に暮らすことができない現況の社会ルールは、明らかにおかしい。
 ヤツと僕は、諸々の事情に加え、もとより愛し合っているからこそ、一緒に暮らしたいと念じ、また実際にそのアクションを起こしているに過ぎない。
 人間として、当たり前のことだ。
 同性カップルに冷たい現況の社会ルールのほうこそが、是正されなくてはならない。

 単なる同棲生活ではなく、互いに生涯の伴侶として、本物の<男男夫夫>の結婚生活を維持しようと考えるゲイ・カップルが、この日本社会で如何に奮闘しなくてはならないものか、―――僕は身を以て、ヤツと僕<36歳と46歳のゲイ、二人>、人生旅行の成り行きを、今後も、このブログでレポートし続けてゆくことになるだろう。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰して申し訳ないです。身辺が騒がしかったもので・・・

円山さんも大変だったみたいですね。多分これからも大変だとは思うけど、少なくとも二人三脚で歩けるから、道のりは楽しく過ごせるのかも・・・

大変だろうとは思いますが、羨ましいと言えば羨ましいな・・・

と、実を言うと私、先日友人に告白しました。敢えてカミングアウトとは言いません。ハッキリ好きだって言っただけですから・・・

そしたら、「私もきりたんぽちゃんは大好きだけど、男の人の方が好き」で、砕けたと言うか・・・

でも、言わないでいたら、もっと辛かったとは思うし・・・

で?で、まぁ、その告白の時は無かった状態として、普通の会社の同僚&友人としての関係を保ってます。

少なくとも、不潔だの、変態だのと言う人ではなくて良かったです。

自信は無いですが、世の中そー生き難い場所では無いかもと、思いましたよ。
名古屋のきりたんぽ
2008/04/23 21:29
>名古屋のきりたんぽさん
 素晴らしいじゃありませんか! カミングアウトだと気負うことなどないのです。『私は貴方が好き』その一言のほうが、自分が同性愛者だと打ち明けるより、ずっと親しみを持たれるのでしょう。偶然ですが、最近いただいた他の方からのコメントからも、ちょっと目から鱗が落ちる思いをしました。ゲイだゲイだと書き続けていると、ついつい見失ってしまうことがあるのです。これまで、何度も似たような気付きがありましたが、忘れてしまうのですね。同性が好きな自分を殊更に強調するよりも、『私は貴方が好き』『私は誰それのことが好き』 好きになった相手が、たまたま同性だったのよ―――というアプローチを忘れないようにすれば、さあカミングアウトだぞと上段に構えて怖じ気づくこともないのかもと。もそっと考えて、また書いてみたいと思います。
円山
2008/04/24 09:59

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