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help リーダーに追加 RSS 【コラム】 スウェーデン教会、同性婚挙式を正式に認める

<<   作成日時 : 2007/12/15 00:24   >>

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 ヨーロッパ諸国が、同性カップルを含む登録パートナー制度を次々と採用したり、中には同性婚まで制度化するようになったりと、同性愛者のパートナーシップを巡る状況は、僕ら日本人の目からすると、全く次元の異なる進化を見せていると言うことができます。
 同性カップルが社会的に承認されることは、同性愛そのものを世の中が認めることの証しです。同性を愛し、同性と結ばれ、同性と添い遂げること。そうすることが自然である僕ら同性愛に生まれついている人間の存在を、社会が正式に受け入れる。これが、僕ら同性愛者が目指すべき、揺るぎない理想です。

 ヨーロッパ諸国は挙ってキリスト教国ですが、かの国々において、キリスト教は、カトリック、プロテスタントに関わりなく、大きな社会的存在感と影響力を持っています。ヨーロッパ人にとって、宗教とは第一にキリスト教を指し、生まれたときには幼児洗礼を受け、成長の場、家庭の場、教育の場、社会生活の場、全てにおいてキリスト教が深く関わりを持ちます。

 日本人にも、かなり強い宗教意識があるのですが、それはもう渾然一体としています。八百万の神々への信仰心。元来、日本人は多神教に馴染みや親しみを感じるのでしょう。初詣には毎年9000万人近い人たちが赴きます。でも、願い事を携えてお参りをするにも、神道の神社と仏教の寺院とを併用します。普段からそうです。ときに、まるでどうでも良いかのように両者の区別さえ拘りません。結婚式を挙げるときには神道式かキリスト教式かで迷います。結婚式場には大抵、小さな神社と教会が併設されています。地鎮祭には神主さんを呼び、お葬式はお坊さんの出番。そして、クリスマスを盛大に祝います。今ではだいぶ薄まりましたが、もともとは儒教道徳が色濃く根付いていました。
 このように、ときどきに応じ、また用途に合わせて、宗教の良いとこどりをして何でもありの日本的習俗に対し、ヨーロッパの宗教観では、一切をキリスト教一本で仕切っていると、このように対比させて考えることができると思います。

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 ヨーロッパ社会で、結婚の方法には大きく二通りの認識があるようです。
 一つは教会、もう一つは行政。
 例えば、<結婚式>を挙げる権利のような概念(挙式権)があって、これは教会と行政機関とに与えられてきたそうです。
 伝統的・宗教的な結婚式をしたいカップルは教会へ行き、そうではないカップルは市役所などの行政機関へ行きます。そのどちらでも結婚式が可能だったのです。

 社会的に同性愛者のパートナーシップが認められ、登録パートナー制度が同性カップルを引き受けるようになると、同性カップルは、教会ではなく市役所へ出掛けて行って、登録の手続きをとることになりました。
 つまり、同性愛者のパートナー登録は、結婚の概念からは外れたものとして認識されたので、もとより教会が、これに携わる必要がなかったのです。
 当初の教会は、もちろん原則的に同性愛を認めません。同性同士の結婚も認めません。しかし、同性パートナーに対しても、どうにかして男女の結婚と同等の権利を与えようと、おそらく新発想の打開策として編み出されたのが、パートナー契約―――パートナー登録をすることで、同性カップルにも結婚同等の権利を認めようと考えた、いわゆる登録パートナー制度であったわけでしょう。

 日本人である僕の感覚からすると、たとえそれが、結婚という呼び方でなかろうと、同性カップルに社会的パートナーシップが認められ、男女の結婚と同等の権利が保障されるのであれば、もう充分に満足してしまいそうなところですが、ヨーロッパの同性愛者たちは、それだけでは納得しないようです。同性カップルを登録パートナー制度だけでカヴァーするのでは、どこか物足りないものがあるのでしょう。
 要は、どうせ男女の結婚と同等な権利が与えられるのなら、何もわざわざ、パートナー登録として差別化する必要もないだろう、同性カップルにも、男女カップルと何一つ違わない<結婚>を認めなければおかしいではないかとの要求が、同性愛者たちのあいだに高まっているのです。

 オランダでは、1998 年に登録パートナー制度が施行され、その僅か二年後に民法を改正。2001年から同性婚が世界で初めて認められました。
 現在は、同性婚と登録パートナー制度とが併存する形をとっており、パートナー登録から結婚へ、結婚からパートナー登録へ、双方向で変更することが可能になっているようです。

 スウェーデンでは、1995年にパートナー法が制定されており、早々と登録パートナー制度が取り入れられていたそうですが、いよいよ来年1月に結婚法の改正が予定されており、これまで結婚の定義に含まれていた性別に関する規定が削除され、結婚を性別によらない中立的概念に変更するとのことです。
 すなわち、同性カップルも法的に結婚できるようになるのです。新たな同性婚承認国が生まれることになります。

 スウェーデンの場合、面白いのは、それまでの登録パートナー制度と新たな同性婚を併存させるのではなく、パートナー制度のほうを結婚の概念に包括吸収するという考え方をとることです。
 一般に、べつの考え方としては、結婚の概念を法的に廃止して、全てのパートナーシップを登録パートナーに一括/統一してしまうというものもあります。
 どちらも似たように感じますが、そこはキリスト教国のこと、結婚の取り扱いには教会からの干渉や抵抗もまた、あったわけなのでしょう。

 パートナー登録であれば、市役所に出向いて手続きをすれば、それで完了といった感覚で済ませられます。あくまで、法的な契約に過ぎないとヨーロッパ人は感じるのでしょう。しかし、結婚となると話は違います。結婚は、伝統的に宗教の権威を戴き、必然的に教会が取り仕切って聖別してきた、長い歴史的経験を積み重ねています。
 もしも、結婚の概念を法的に廃止すると、男女カップルのパートナーシップも含め、全てのパートナーシップが登録パートナーとして一括処理されます。しかし、教会には伝統的・宗教的意味において結婚の祝福と承認を施す余地が残されます。先ほど述べた、<結婚式>を挙げる権利のような概念(挙式権)を教会が持ち続けることになります。法的に結婚の概念がなくなっても、やはり伝統的・宗教的な結婚式を挙げたいと思うカップルは、個別に教会の門を叩いて、結婚式を執り行うよう依頼することになります。

 さて、スウェーデンのように、結婚の概念の中に、同性カップルのパートナーシップを含む全てのパートナーシップを包括させることにすると、結婚を総じて行政機関のみが取り仕切ることになります。その結果、教会には、挙式権を行使する理由がなくなり、形式的な宗教儀式を執り行う場所としての意味合いだけが残ることになります。

 日本には、同性カップルのパートナーシップを法的に認めようという概念そのものが、まだありませんが、結婚を行政機関のみが取り仕切るスタイルは、すでに定着しています。神社や寺院が結婚届を取り扱うことはありません。逆に、行政機関が結婚式を行うこともありません。キリスト教国の教会が、カップルの結婚を認めるかどうかについて強い影響力を維持していることとの、大きな違いです。

 スウェーデンが興味深いのは、同性カップルを含む全てのパートナーシップを結婚の概念にまとめ上げ、行政機関がその一切を取り扱うことにした上で、教会に、引き続き挙式権を保持させようとしていることです。
 スウェーデン政府は、結婚法改正を視野に入れ、国教であるスウェーデン教会に対し、その働きかけを強めていました。
 つまり、同性カップルも男女カップルと同じように結婚式を挙行できるよう、教会に検討を迫っていたわけでしょう。

 スウェーデン教会は、ついにそれを呑み、このほど、同性カップルの結婚式を、教会として正式に執り行うことを認めると発表したようです。
 世界で初めて、キリスト教国の国教会が、同性カップルの挙式を受け入れることになります。

 おそらくスウェーデン社会の形態が、世界で最も進んだ同性パートナーシップ受容のあり方になるのではないでしょうか。結婚を男女/同性の垣根なしに一本化し、登録パートナー制度もそれに吸収。しかも、結婚に関する国教会の権威を残存させ、同性カップルの挙式まで行えるようにするのですから。

 ただ―――、最後に残された教会側の拘りが一つ。

 それは、同性カップルに、<結婚という言葉>だけ、どうしても適用するわけにはいかない―――ということのようです。
 <結婚という言葉>は男女カップルだけに相応しいとの、教会内部に燻る譲れない抵抗なのでしょうか―――。

 もう、あと一歩なのに。

 でも、僕の予感では、その拘り/抵抗も長くはないように想います。
 きっと、そう遠くない将来、スウェーデンでは、男女カップルも男同士・女同士のカップルも、<結婚という言葉>の下、行政そして教会の双方から結び合うことを認められ、また、分け隔てなく扱われるようになることでしょう。

〔参考資料〕

http://christiantoday.co.jp/international-news-1321.html

http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/7a5992e1b4dfd820e3e68594c67d0191

http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/79365d1ad1d7d052249c19aaf42cadd7

http://www.google.com/search?q=cache:v0zAV863u7IJ:mizushima-s.pos.to/lecture/2006/spring/02/02.pdf+%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E5%A5%91%E7%B4%84%E3%80%80%E7%99%BB%E9%8C%B2%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%BC&hl=ja&ct=clnk&cd=1&gl=jp

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
好きな人と一緒にいたい、人生をともにしたい、という思いは人間だれでも持っているはず。それが実現できるスウェーデンの制度が世界中に広がったら、もっとたくさんの人たちが幸せになれるだろうと思います。
どんな人でもその人なりの幸せを追求でき、その人の幸せをみんなで喜びあえる社会は理想的だと感じます。
スウェーデンでは、シングルペアレントも多いのではなかったでしょうか?(結婚があれば必然的に離婚があり、不倫もあり・・・となり、一人で子どもを育てていく親も多くなりますから)どんな親も子育てと仕事を両立できる社会なら常に安心していられます。
教会までがきちんと時代に即した方向へ動いているというのもすごいですね。
brrr
2007/12/15 21:51
>brrrさん
 スウェーデンは進んでいますね。最先端じゃないのかな。併せて環境先進国、福祉先進国と聞くと、理想的な国家なのかと想えて仕方ないのですが、人口が1000万にも満たないから、そもそも小さな国なのだとも言え、だからこそできるのかな。真正面から日本と比較してはいけないのかも知れませんが。でも、何と言うか、幸せを真面目に追求している印象を受けますね。政治家も役人も、きっと日本とは比べものにならないほど、意識が高いんでしょうね。日本がレヴェル低すぎるのか……。仰るように、教会が悟りを開いている景色が、とても素敵です。税金が高そうですけど。
円山
2007/12/16 01:01

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