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かつて、……約五年弱のむかし、僕は毎週末、新宿二丁目のゲイ呑み屋で夜明かししていたものでした。 酒が飲めるくちだとか、下戸だとか、関係なく、呑み屋の雰囲気がよほど嫌でもない限り、二丁目というゲイタウンを好意的に解釈すれば、あそこは、ストレート中心の異性愛主義社会の中で、ゲイにとっては特別な場所です。オアシスとでも申しましょうか。 もちろん、あそこはあそこなりに、人間同士のどろどろとした”しがらみ”が渦巻きますから、二度と二丁目など行きたくない……と、あのゲイタウンを酷く罵るゲイの方々も、少なくはありませんが。 なので、一概には申せませんけれど、一般論として、ゲイたるもの、普段の生活でゲイネス(ゲイであること)を隠蔽し、本当の気持ちを包み込み、ときに、加わりたくもないストレート的話題に加わり、交わりたくもない異性との関わりを持ち、場合によっては、意に反して異性との結婚まで強いられる、そんな生活を脱し、正体を当たり前に晒し、好きな同性の話で盛り上がり、心臓がキュンとする同性への恋心を、そのまま、気兼ねなく具体化させ得る(振られたら哀しいけれど、振られるなら振られるで)、……そんな、ゲイタウンの居心地の良さは、一度、味をしめると、どちらのゲイも、しばらくのあいだ、中毒に罹るものです。 僕のパートナーが、最近、ネットから拾ってきた映像の中に、「ゲイニガー(gay nigger)」というタイトルの、大層ふざけたD級短編映画がありました。実に、下らない映像作品なのですが、苦笑のレベルで愉しめました。 要約開始――宇宙のどこかに、黒人ゲイだけが暮らす惑星・ゲイニガーがある――特別なミッションを帯びた……その、黒人ゲイ惑星のゲイ部隊が、宇宙船で惑星探査を行っている――そのミッションは、地球のような、女と称する生物が存在する惑星を見付けると、そこへ降り立ち、不思議な光線を照射して、容赦なく、全ての女たちを消してしまうというものだ――そして、女に従属していた男たちを解放し、彼らをみなゲイ化させるのだ――ミッションが成功した惑星には、ゲイニガーの大使を、その惑星に相応しいゲイ人間たちの容姿(例えば白人種)に変身させて、駐在させる――こうして、ゲイニガーの探査部隊は、宇宙全体の完全なるゲイ化を目指して、日々、活躍しているのであった――要約終わり この茶化しかたから判断すると、どうやら、ゲイが集まって徹底的な冗談指向で作った映画である可能性が上回っている、ストレートが制作したテイストではない、……と、僕は感じました。 映画や演劇の設定でも、ゲイだけが暮らす集合住宅とか、住人がゲイだけの村だとか、もはや珍しいものではありません。 しかし、実際にゲイだけしか暮らせないアパートとか、ゲイだけが居住を許可される村があったら、それは、却って逆差別ではないのかと、ゲイコミュニティーの内外から、理論的な批判を受けることになるのかも知れませんね。 ただ、歴史的にも個人的にも、これだけ抑圧を喰らってきたゲイの気持ちを、是非、推し量ってみて欲しいところです。心情的には、ストレートの人たちが、生まれてから死ぬまで、何も特別な努力無しに経験し通せる、自分のセクシュアリティーなど、全く意識する必要のない生きかたを、ゲイだってやってみたいとの、素直な願いの投影なのです。ゲイだけが住める街などが、本当に存在したら良いな……と想うことに、罪はないでしょう。そんなことで、罰が当たるのなら、神様は不公平です。 最近、僕のパートナーのゲイ親友――K君が、たまたま、僕が暮らしている東京・大田区の、比較的近所へ引っ越して来ました。先週末、パートナーと一緒に、片付けの手伝いをしに行きました。徒歩で、20〜30分以内の距離。散歩がてら風、もしくは、小学生が、同じ学区域内の同級生宅へ遊びに行くような感覚でした。僕が、一人暮らしを始めて約十五年経ちましたが、これほどの近所に、知人……しかもゲイ友が暮らす状況が発生したのは初めてのことです。 K君の、約5年間に亘って同棲していたパートナーが、仕事のため、当分のあいだ、英国で暮らすことになったのです。しばらくの、超・遠距離恋愛、と言うより、事実上の夫婦であるK君と彼のパートナーにとって、単身赴任で夫婦が一時的に離れて暮らす、と形容するほうが、しっくりきます。 K君は、我がパートナーが僕と知り合う以前から、我がパートナーとは、とても仲が良いようで、そして、生来の寂しがり屋なのです。しばし、独りになるので、さあさあ、寂しがること必定でしょう。きっと、これから、我がパートナーと一緒に、K君宅を訪問したり、我が家に招いたりと、いわゆる近所付き合いをする楽しみが、新たに増えました。 本格的に調査してみても面白いと想うのですが、東京辺りで(あるいは、それぞれ、皆さんの地元で)暮らすゲイたちは、みんなどこに住んでいるのか、その分布を点グラフで見てみたいものです。 きっと、どの地方でも、ゲイが集中的に住んでいる地域がありそうです。 個人を特定する必要はありません。単に、どういう分布でゲイが暮らしているか、興味を持ちました。 東京なら、さしあたり中野周辺だろうか、高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、それとも大久保か、……などと、僕は、勝手な思い込みをしています。人口が多ければ、統計的にゲイも多いわけですから、斯様な意味で、僕が暮らす大田区にも、ゲイが多く住み着いている可能性が高いのです。 しかし、日本にはまだ、ゲイが集まって居住しているようなゲイ・ベッドタウンは、ないようですね。 アメリカ西海岸には、サンフランシスコのカストロストリート辺りでしょうか、そういう地域があると聞きました。それと、どこでしたか、アメリカの人里離れたド田舎に、広大な土地を私有するゲイがいて、その土地を、実質的にゲイだけの村として運営しているとの話を、何かの折に、聞きかじったようにも記憶しています。ご存じのかた、教えて下さい。 将来。ゲイやレズビアンの独立国が、できたりしないのでしょうか。 もちろん、それは、ストレートの人たちを排除するための独立国ではなく、同性愛者たちの主権がストレート同様に守られ、その上で、LGBTだろうがストレートだろうが、平等に生きられる国であるべきでしょう。 地球全体が、そのようになれば、敢えて独立国など要らないのです。 しかし、どうでしょう。いまだに、ゲイフォビックな思想が蔓延る文化圏が存在しますし、こびり付いたゲイフォビアが、一朝一夕に除去できるとも想えません。本当は、除去されるのが正しいことと信じますが、あちらはあちらで信念を持っているのでしょうから、どう折り合いを付けられるものか、難しい現実です。 ふと、イエスさまでもムハンマドさまでも、あるいは何の神様でも結構だから、一度、誰の目にも明らかなように顕現なされて、同じ人間――仲良うやれや、……とでも、明快な言葉で諭して頂きたいところだと、想ってしまいました。でも、神は、いつまでも沈黙を続けられるままです。頼りになりません。 話が大きくなってしまいました。 国は無理でも、とりあえず、隣近所、ゲイばかりが暮らしている、ゲイ横丁を、どこかに作りましょうか。 口コミで準備するのが賢いでしょう。土地・宅地・建物の不動産管理士資格を持っていたり、投資資金が豊富なゲイさんたちに、ご協力を仰ぎたいです。 段取り――ある地域をゲイ横丁開発区に指定する――土地、建物、テナント、これらをゲイ資本で買い占めてゆく――ゲイが、独りでもカップルでも、気安く居住できる住宅やアパート、ゲイがゲイビジネスを開業し易い店舗やオフィスのスペース、これらを確保する――ゲイばかりが近隣同志として居住でき、ゲイビジネスの遂行にも理解のある地域だということを、やはり、口コミで伝播させる――誰もが気付いたときには、ゲイ横丁たる既成事実が完成している? ことによると、THE 二丁目を凌駕する規模の、新しいゲイタウン――歓楽だけではなく、暮らしと密着した、総合的なLGBTの街が、誕生することでしょう。 ともすれば、独り寂しく暮らすことを余儀なくされるゲイだからこそ、ご近所に仲間がいることに、特別な意味があるのです。 早い話が助け合い。 ゲイの生活、暮らしのありかたを充実させることもまた、考えてゆかねばならない、大切なテーマなのです。 |
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| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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あるゲイの知人(50歳ぐらい。でも若く見える)がイカロス島と云うところに父親から遺された土地を持っていて、ある日言いました。「相続する子供を持つこともないから、みんなで材料とか買ってのんびり家を建てて、みんなで好きに使おうよ。」 |
Elmo 2006/07/07 18:35 |
えるもさん。そのゲイのお知り合い、理想的な提案をされましたね。イカロス島。美しいところなのですか? |
円山 潤 2006/07/08 03:28 |
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